暗号資産(仮想通貨)の登場以来、投資や送金など多岐にわたる利用方法が生まれています。
取引所で口座を開設すると、その魅力に引き込まれ、積極的なトレードや海外の知人への送金など、様々な活動を試みたくなることでしょう。
暗号資産はその便利さから、私たちの金融活動に新たな可能性をもたらしています。
しかし、その一方で、暗号資産を取り巻く環境は複雑であり、多くのリスクが潜んでいます。
価格の急激な変動、セキュリティ上の問題、規制の不確実性など、利用者が直面する可能性のある危険は少なくありません。
これらのリスクによって、大切な資産を失うことも考えられます。
そこで、この記事では、暗号資産を利用する際に留意すべき主なリスクと、それらのリスクを最小限に抑えるための対策について、具体的な例を交えながら詳しく解説していきます。
安全に暗号資産を利用するためには、これらの情報を知っておくことが不可欠です。
暗号資産を活用する前に、ぜひとも押さえておきたいポイントを、わかりやすくご紹介していきます。
暗号資産の大きなリスク:価格のボラティリティ
暗号資産(仮想通貨)を取り巻く市場は、その価格変動の大きさによって特徴づけられます。
この変動の専門用語を「ボラティリティ」と呼びます。
簡単に言うと、ボラティリティとは価格の変動率のことで、これが大きいということは、価格が大きく上下することを意味します。
特に、時価総額が小さな暗号資産ほど、価格変動が激しくなる傾向にあります。
ボラティリティと投資リスク
暗号資産の大きなボラティリティは、投資家にとっては二重の剣です。
一方で、短期間で大きな利益を得るチャンスを提供しますが、反面、大きな損失を招くリスクもはるかに高くなります。
価格が急激に変動するため、投資のタイミングを誤ると、大きな損失を被る可能性があります。
暗号資産と株式市場の違い
投資の世界では、株式市場もポピュラーな選択肢ですが、株式と暗号資産の間には大きな違いがあります。
株式市場では、一日の株価の上昇や下降には通常上限が設けられており、一定の範囲を超えた価格変動は自動的に止まるような仕組みがあります。
これにより、投資家はある程度予測可能なリスクに直面します。
しかし、暗号資産市場にはこのような制限が存在せず、価格は上限なく上昇することも、下限なく下落することもあります。
この無制限な価格変動が、暗号資産投資のリスクを一層高める要因となっています。
価格が急落した場合、投資家は自身の資産をほぼ全額失うリスクに直面することになります。
投資家が暗号資産市場に参入する際は、そのボラティリティの高さと、それがもたらすリスクとチャンスの両面を十分に理解することが重要です。
ボラティリティをうまく管理することが、暗号資産投資で成功するための鍵となります。
また、リスク管理のためには、投資の分散、リスク許容度の再評価、市場動向の継続的な監視など、慎重なアプローチが必要です。
逆指値注文: 暗号資産投資におけるリスク管理戦略
投資市場では、予期しない価格の変動によって発生する損失を最小限に抑えるための多様な戦略が存在します。
特に暗号資産のようなボラティリティが高い市場では、損失をコントロールする手法を理解し、適用することが資産保護に不可欠です。
「この価格に達したら損切りする」と事前に決定することは、資産を守る基本的なアプローチの一つです。
逆指値注文とは
逆指値注文は、価格が特定のレベルに達した時点で自動的に売買を行う注文方法です。
具体的には、投資家は以下の二つの条件のいずれかを設定します。
- いくら以下になったら売却: 価格がこの水準を下回ると、自動的に売却注文が発動します。これにより、価格がさらに下落する前に、保有資産を売却し損失を限定することが可能になります。
- いくら以上になったら購入: 価格がこの水準を上回ると、自動的に購入注文が出されます。これは、価格の上昇トレンドを捉え、利益を最大化する戦略として利用されます。
このように設定された逆指値注文は、市場の急激な価格変動から投資家を守る安全装置として機能します。
投資家は、自らが不在の間も含め、損失拡大を回遏することが可能になります。
逆指値注文の活用法
逆指値注文を有効に活用するには、市場分析と自己の投資戦略に基づく適切な価格設定が重要です。
特に、損切り価格を決める際には、自己のリスク許容度、投資期間、および資産の価格変動パターンを考慮する必要があります。
また、逆指値注文は、市場の突発的な変動に対しても反応するため、”フェイクアウト”による不本意な売買を避けるためにも、慎重な設定が求められます。
逆指値注文は、暗号資産投資においてリスクを管理し、損失を最小限に抑えるための強力なツールです。
しかし、この戦略を最大限に活用するには、市場の理解と自身の投資計画に基づく適切な価格設定が不可欠です。
投資家は逆指値注文を通じて、不確実な市場環境下での自己資産の保護と資本増加のバランスをうまく取ることができるでしょう。
暗号資産送付時のリスク:誤ったアドレスへの送金
暗号資産(仮想通貨)の取引において、各ユーザーは独自の「アドレス」を持っています。
このアドレスは、銀行の口座番号に相当し、ビットコイン、イーサリアムなど各暗号資産ごとに固有のものです。
送金や取引を行う際、相手のアドレスに対して暗号資産を送付します。
このプロセスは、ブロックチェーン技術によって安全かつ透明に記録されます。
アドレス入力時の間違いとその危険性
暗号資産アドレスは、長い英数字のランダムな組み合わせから成り立っており、人間が正確に記憶または入力することは非常に難しいです。
この複雑さが、誤ったアドレスへの送金というリスクを高めています。
多くの場合、間違ったアドレスに暗号資産を送ると、その資産を取り戻すことは不可能になります。
システムによるエラー検出の限界
通常、送付しようとしたアドレスが存在しない場合、多くのブロックチェーンシステムはエラーを発生させて取引を拒否します。
これにより、誤送金のリスクをある程度防ぐことが可能です。
しかし、間違えたアドレスが実際に存在し、かつそのアドレスの所有者が資産の返却に応じない場合、送付された資産を取り戻すことは極めて困難です。
誤送金防止のための対策
- ダブルチェック: 送金アドレスを入力後、必ず複数回確認しましょう。
- アドレスの一部を確認: アドレスの初めと終わりの数文字を特に注意深く確認することで、間違いを見つけやすくなります。
- 小額のテスト送金: 大量の資産を送る前に、まずは小額でテスト送金を行い、正しく相手に届くか確認しましょう。
- アドレスのコピー&ペースト: 手入力による間違いを避けるため、可能な限りアドレスをコピー&ペーストで使用しましょう。ただし、マルウェアによるクリップボードの改ざんリスクにも注意が必要です。
暗号資産を安全に送付するためには、アドレスの正確性を確保することが非常に重要です。
上述の対策を講じることで、誤送金のリスクを大幅に低減することが可能です。
投資家自身が安全対策を心がけ、慎重な取引を心がけることが求められます。
暗号資産のセキュリティリスク
暗号資産(仮想通貨)取引所やウォレットサービスは、その価値とアクセス性から、サイバー攻撃者の標的になりやすい環境にあります。
顧客の資産を管理する金融サービス全般がハッキングの危険に晒されている中で、暗号資産は匿名性や国境を越えた取引が可能な点で特にリスクが高いと言えます。
不正アクセスの増加傾向
具体的な数字を挙げると、2019年9月以降、インターネットバンキングを標的とした不正送金の被害が急増しています。
警察庁によると、その年の10月には397件、被害額約5億1,900万円、11月には573件、被害額約7億7,600万円に達し、これは2012年以降最多の水準です。
この傾向は、暗号資産を含むオンライン金融サービス全体に警鐘を鳴らしています。
暗号資産ウォレットとは
暗号資産を保管するための「ウォレット」は、ユーザーの資産を管理するデジタルツールです。
ウォレットアドレスには、それを制御するための「秘密鍵」が紐づいており、この秘密鍵が第三者に漏洩すると、ウォレット内の資産が不正に移動される危険があります。
ハッキングによるリスク
暗号資産の不正送金は、銀行口座からの不正引き出しと同様、資産の完全な損失につながります。
ウォレットや秘密鍵の情報が漏洩することで、攻撃者はユーザーの資産を自由に移動させることが可能になるため、高度なセキュリティ対策が求められます。
対策としては、以下の方法が効果的です。
- マルチシグネチャウォレットの使用: 取引を承認するには複数の署名が必要なウォレットを使用します。
- ハードウェアウォレットの利用: インターネットに接続されていない物理的デバイスで秘密鍵を保管します。
- 定期的なセキュリティチェック: ソフトウェアのアップデート、パスワードの変更、二要素認証の設定など、セキュリティ維持のための定期的なチェックが必要です。
- 公開Wi-Fiの使用制限: 不安全なネットワークを避け、信頼できるネットワーク環境下でのみ取引を行います。
暗号資産(仮想通貨)は、その特性上、サイバー攻撃のリスクが高い金融資産です。
ユーザーは、最新のセキュリティ対策を講じ、自身の資産を守るために必要な知識とツールを身につけることが重要です。
安全な取引の実践は、暗号資産エコシステム全体の信頼性を高めることにも繋がります。
ハッキングリスクを抑制するための実践的な対策
暗号資産(仮想通貨)のようなデジタル資産は、その便利さとともに、ハッキングのリスクも抱えています。
しかし、適切な予防策を講じることで、これらのリスクを大幅に軽減することが可能です。
ここでは、特に重要な二つの対策、「セキュリティ体制の整ったサービスの選択」と「個人を標的としたハッキング対策」に焦点を当てて詳しく解説します。
セキュリティ体制の整ったサービスを選ぶ
金融サービスの選定基準
- 透明性: サービスが顧客資産の管理方針やセキュリティ対策に関する情報を公開しているかどうかを確認します。透明性の高いサービスは、その対策が具体的かつ理解しやすい形で提示されているはずです。
- 評判と信頼性: サービスの評判や利用者のフィードバックをチェックすることも重要です。特に、過去にセキュリティ関連の問題が発生したかどうか、その対応は適切だったかどうかを調べます。
- 規制準拠: 金融規制を遵守しているサービスは、一定のセキュリティ基準やプライバシー保護の基準を満たしていることが多いです。そのため、規制に準拠しているかどうかも選択の一つの指標になります。
フィッシング対策
個人を標的とした攻撃への対処法
- 識別能力: フィッシングサイトやなりすましメールは、本物そっくりに作られていることが多いです。しかし、URLのスペルミスやメールの差出人アドレスが正規のものでない場合があります。細部に注意を払い、疑わしい点があれば直ちにアクセスを避けましょう。
- 二段階認証の利用: サービスにログインする際、パスワードだけでなく、SMSやアプリによる二段階認証を設定することが推奨されます。これにより、たとえパスワードが漏洩しても、アカウントの不正利用を防ぐことができます。
- セキュリティソフトの活用: 最新のセキュリティソフトを利用し、常にアップデートを行うことで、フィッシングサイトへの誤アクセスやマルウェアの感染を未然に防ぐことが可能です。
ハッキングのリスクは、暗号資産(仮想通貨)をはじめとするデジタル資産の利用において避けて通れない問題です。
しかし、適切なサービス選定と個人情報の保護に関する基本的な対策を講じることで、これらのリスクを効果的に軽減することができます。
利用者自身がセキュリティ意識を高め、常に警戒心を持つことが重要です。
まとめ
暗号資産(仮想通貨)の利用はその便利さから多くの機会を提供しますが、それに伴うリスクも無視できません。
価格のボラティリティ、誤ったアドレスへの送金、ハッキングのリスクなど、様々な危険が潜んでいます。
これらのリスクを理解し、適切に管理することは、安全な暗号資産利用のために不可欠です。
価格変動に対しては、逆指値注文のような先見の明を持った取引戦略を用いること、誤送金の危険性に対処するためにはアドレスの正確な入力や確認を徹底すること、そしてハッキングのリスクを低減するためにはセキュリティが強固なサービスを選択し、フィッシングに対する警戒を怠らないことが求められます。
これらの対策を講じることで、暗号資産をより安全に利用することが可能となり、デジタル資産のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
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