世界各国の中央銀行が金を過去最高レベルで購入 – 暗号資産と金の関係

近年、世界中の中央銀行が注目しているのは「金(ゴールド)」です。今年、各国の中央銀行は、金を貯める量を過去最高レベルまで増やしています。

金は古くから「価値の保存手段」として使われてきましたが、これは簡単に言うと、お金や資産の価値が時間とともに減らないようにするための方法の一つです。

経済に関する情報を提供している「コービッシレター」は、2024年上半期(1月から6月までの期間)に中央銀行が購入した金の量が「483トン」に達したと報告しています。

これは、2023年の同じ期間に購入された460トンよりも5%多く、歴史上最高の数字です。

では、なぜ中央銀行はこんなに金を購入しているのでしょうか?

その理由の一つとして、金は「経済が不安定な時期に安心できる資産」として注目されています。

例えば、インフレ(物価が上がって、お金の価値が下がること)や、世界的な経済危機に対する備えとして、金はその価値を失わないと言われています。

このような動きは、暗号資産(仮想通貨)と同じように、資産の価値を守るための手段として金が再評価されていることを示しています。

この記事では、中央銀行が金を購入する背景や、その影響についてさらに詳しく見ていきます。

また、暗号資産の世界ともどのように関係しているのかをわかりやすく解説していきます。

中央銀行による金購入

2024年の第2四半期(4月から6月の期間)には、中央銀行が合計で183トンの金を購入しました。

この数値は前年の同じ時期と比べて6%の増加となり、各国の中央銀行が引き続き金を重視していることがわかります。

この期間に最も多くの金を購入したのは、ポーランド国立銀行、インド準備銀行、そしてトルコ中央銀行でした。

特にポーランド国立銀行は積極的な購入を続けており、8月下旬にはアダム・グラピンスキ総裁が「金が銀行の準備資産の20%を占めることを目指す」と発表しています。

準備資産とは、国や銀行がリスクに備えて保有している資産のことです。

通常、外貨や国債が多く含まれますが、最近ではリスクを分散するために金もその一部として重要視されています。

金を選ぶ理由と世界の動き

では、なぜこれほど多くの中央銀行が金を買い続けているのでしょうか?

トロウ・キャピタル・マネジメントの創設者、スペンサー・ハキミアン氏によれば、特に中国、インド、ロシア、サウジアラビアといった国々は「西側(アメリカやヨーロッパ)の準備資産を持ち続けることに対して信頼を失っている」とのことです。

ここでいう「西側の準備資産」とは、ドルやユーロなどの主要通貨や、アメリカ・ヨーロッパの国債などを指します。

これらの資産が政治的・経済的な影響を受けやすくなっているため、安定した価値を持つ金を選ぶ国が増えているのです。

ハキミアン氏はさらに、「金は唯一の中立で安定した準備資産だ」と述べています。

これは、金がどこの国にも依存せず、その価値が世界中で共通して認められているからです。

このため、中央銀行は他の資産よりも金に対して信頼を置いているのです。

暗号資産と金の共通点

こうした金の重要性が高まっている状況は、暗号資産にも共通するところがあります。

例えば、ビットコインなどの暗号資産も、国境を越えて価値を保てる「デジタルゴールド」として一部の人々に見なされています。

金と同様に、暗号資産は一国の政府や通貨政策に左右されにくく、分散化された安全な資産として期待されています。

中央銀行が金を積極的に購入する背景には、経済の不安定さやインフレのリスク、そして地政学的な不確実性が関係しています。

このような状況下で、資産を守る手段として金や暗号資産に注目が集まっているのです。

BRICS諸国と金担保ステーブルコインの影響

テクノロジー起業家のキム・ドットコム氏は、2024年9月1日に「X」(旧Twitter)で、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)諸国が新たに金を担保にしたステーブルコインを導入することで、世界経済に大きな変化が起こる可能性があると予測しています。

ステーブルコインとは、価格が安定している仮想通貨で、通常は法定通貨(ドルなど)や資産(この場合は金)によって価値が支えられています。

ドットコム氏は、この新しい金担保ステーブルコインの登場により、世界のドル依存が急激に減少し、中央銀行がドルを手放し始めると指摘しました。

これによって、アメリカが長年続けてきた「マネープリンティング・ポンジスキーム」(通貨の過剰発行による経済操作)も崩壊する可能性があると言います。

さらに、ドットコム氏は、2030年までに世界のGDP(国内総生産)の14%がアメリカから他の国々にシフトするだろうと予測しています。

これは、アメリカが世界経済で占める割合が減り、他の国が経済的に台頭することを示しています。

BRICS諸国の動きは、アメリカ主導の経済システムに挑戦しようとしているのです。

金とビットコインの2024年のパフォーマンス

一方で、グローバル・マーケッツ・インベスターは、「金の価格が2024年に史上最高の上昇を見せている」と報告しています。

金の価格は年初来で23%も上昇しており、これはアメリカの代表的な株価指数であるS&P500(アメリカの500社の株価をまとめた指数)の18%の上昇を上回っています。

金のような物理的な資産は、経済が不安定なときに価値を保ちやすいとされているため、こうした上昇が続いているのです。

また、デジタルな価値の保存手段として注目されているビットコイン(BTC)も、2024年にこれまで37%の上昇を記録しています。

ビットコインは仮想通貨の一種で、中央銀行や政府の管理を受けずに取引できることから、「デジタルゴールド」としても人気があります。

ただし、3月に史上最高値から22%の下落を経験しましたが、その後も強気の市場が続いていることが分かります。

ピーター・シフ氏の見解とビットコインの議論

しかし、ビットコインに対しては懐疑的な意見もあります。

著名な金支持者であり仮想通貨批判者のピーター・シフ氏は、9月1日のX投稿で、「ビットコインの上昇は主に年初の2ヶ月間に集中しており、それ以降は下落している」と指摘しました。

シフ氏は、米国での現物ETF(上場投資信託)の導入にもかかわらず、ビットコインがその後下落している点に注目しています。

ETFは、特定の資産(この場合はビットコイン)を基にした投資商品で、投資家が手軽にビットコインに投資できるようにするものです。

一方で、金価格は8月27日に1オンスあたり2525ドルの史上最高値を記録しており、シフ氏は「勢いは変わった」と主張しています。

彼の意見では、金が今後もビットコインよりも安定して成長する可能性が高いと見ていますが、実際にはビットコインも2024年のこれまでのパフォーマンスで金を上回っているのが現状です。

このように、金とビットコインはそれぞれ異なる背景や支持層を持ちながらも、どちらも2024年に大きな成長を見せています。

経済の不安定さやドルの価値が揺れる中、投資家たちは金とビットコインという2つの異なる「価値の保存手段」に注目しているのです。

金の長い歴史と価値の源泉

金は、数千年にわたって人類の歴史の中で重要な役割を果たしてきた貴金属です。

その美しさや希少性により、古代文明から現代に至るまで富の象徴として扱われてきました。

例えば、古代エジプトでは王や神々の象徴として金が使用され、権力と信仰の象徴とされていました。

金の独特な輝きと腐食に強い性質が、長く不変の価値を保つことを可能にしてきたのです。

金の貨幣としての利用

金は貨幣としても長い歴史を持ちます。紀元前600年ごろ、リディア王国(紀元前1200年頃から紀元前546年頃まで現在のトルコ西部に存在した古代の王国)で金貨が発行されて以来、世界各地で金が取引の媒介として使われるようになりました。

金は、国境を越えてもその価値が認められる普遍的な貨幣であり、国際的な貿易でも重宝されました。

19世紀には、多くの国が金本位制を採用し、貨幣の価値を金に連動させることで、経済の安定性を保っていました。

金投資の現代的な意味合い

現代において、金は物理的な貨幣として使われることは少なくなりましたが、価値の保存手段として投資家にとって非常に重要な存在です。

金は、インフレや経済的混乱、そして政治的リスクから資産を守るための「セーフヘブン(安全資産)」として評価されています。

特に、株式市場が不安定な時期や、世界的な経済危機が発生した際には、金の価格が上昇する傾向があります。

近代における金投資の進化

近代では、金への投資は単なる金の現物(ゴールドバーや金貨)の購入だけでなく、金関連の金融商品を通じて行われることが多くなりました。

例えば、金ETF(上場投資信託)や金先物取引を活用することで、投資家は金を簡単に取引できるようになりました。

また、金の価格は地政学的リスクや中央銀行の政策などによって大きく変動するため、短期的な取引の対象にもなっています。

暗号資産と金の比較

最近では、金と仮想通貨(特にビットコイン)を比較する議論も増えています。

ビットコインが「デジタルゴールド」と呼ばれるように、金と仮想通貨はどちらも価値の保存手段として投資家に注目されています。

しかし、金は何千年もの歴史を持ち、実体のある物理的な資産である点で、依然として多くの投資家から信頼され続けています。

金の投資対象としての歴史は、その信頼性と普遍性に支えられています。

歴史的にも、そして現代においても、金は経済や市場の不安定さの中で安心できる投資先として多くの人に選ばれてきました。

金の安定した将来

金の将来性は、経済や政治の不安定さが続く中で非常に明るいと見られています。

長い歴史を持つ安定した資産として、今後も多くの投資家に選ばれるでしょう。

まず、経済の不安定さやインフレのリスクが高まると、金は「セーフヘブン(安全資産)」として特に注目されます。

通貨の価値が下がる状況でも、金の価格は上昇することが多く、資産を守るために投資家が金を購入する傾向が強まるため、将来的にも需要が高まることが予想されます。

また、中央銀行が金を大量に購入し続けていることも、金の価値を支える要因の一つです。

2024年には、中央銀行が記録的な量の金を購入しており、これは金が経済の安定化に寄与すると認識されているためです。

特に、ドルへの信頼が揺らぐ局面では、金の需要が増加する可能性があります。

さらに、ビットコインなどのデジタル資産との競合が注目される中でも、金は長い歴史と実体のある物理的資産である点が強みです。

ビットコインは「デジタルゴールド」と呼ばれることもありますが、金は数千年にわたりその価値が証明されてきました。

このため、デジタル資産が拡大しても、金の需要が失われることはないでしょう。

加えて、金は技術革新やグリーンエネルギー分野でも重要な資源です。

エレクトロニクスや太陽光発電に使用される金は、これからの技術の進展に伴い、産業需要が増加する可能性があります。

これにより、投資面だけでなく産業用途でも金の価値が上昇することが期待されています。

最後に、地政学的リスクの高まりも金の需要を後押ししています。

国際的な紛争や緊張が高まると、株式市場や通貨は不安定になりますが、金は依然としてその価値を保ち続けます。

このため、世界情勢が不安定な時期には、安全資産として金がますます重要視されるでしょう。

こうしたさまざまな要因から、金は今後も安定した投資対象としての地位を保ち続け、将来的にもその価値は揺るがないと考えられます。

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