中国がマネーロンダリング対策を強化:新技術に対応するための法改正を検討

参照元:コインテレグラフジャパン

中国政府は、仮想通貨(暗号資産)などの新しい金融技術によるマネーロンダリング(資金洗浄)のリスクに対応するため、現行のマネーロンダリング防止法を改正する計画を進めています。

仮想通貨とは、インターネット上でやり取りされるデジタル通貨のことで、中央銀行などの政府機関が管理する一般的な通貨とは異なり、誰でも利用できることから、悪用されやすい側面もあります。

サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国の立法機関である全国人民代表大会(全人代)の広報担当者ワン・シャン氏は、「新技術の急速な発展により、不正行為の発見や調査が難しくなっている」と指摘しています。

今回の法改正は、特に仮想通貨を用いた新しいタイプのマネーロンダリングを防ぐためのルールを明確にすることが狙いです。

さらに、今回の改正案では、中央銀行と金融規制当局が協力して、新しい技術を活用した不正リスクに対処するための具体的なガイドラインを作成することも求められています。

これにより、金融システムの透明性が向上し、マネーロンダリングのリスクが低減されることが期待されています。

マネーロンダリング(資金洗浄)とは

犯罪によって得られたお金を、合法的に得たかのように見せかける行為です。

簡単に言うと、悪いことをして稼いだお金を、まるで普通に稼いだかのように「洗う」ことです。

例えば、誰かが違法な手段(麻薬の売買や詐欺など)で得たお金を、そのまま使うと警察に怪しまれてしまいます。

そこで、そのお金を一旦「見えない」ようにするために、表向きは正当な商売に見えるレストランや小さな店などを利用して、お金を出し入れします。

これによって、そのお金がまるでその店の売上であるかのように見せかけることができるのです。

例えるなら、泥だらけになった服を普通の洗濯物の中に紛れ込ませて洗濯し、みんなが「汚れた服」と気づかないようにするようなものです。

最初は汚れていたお金が、色々な経路を通して「綺麗な」お金に見えるようになるため、マネーロンダリングと呼ばれています。

司法当局がマネーロンダリングの基準を示す:仮想資産も対象に

2024年8月19日、中国の最高裁判所にあたる最高人民法院は、マネーロンダリング(不正に得たお金を合法に見せかける行為)や租税回避(税金を支払わずに利益を隠すこと)で使用される手段の一つとして「仮想資産」を例に挙げました。

仮想資産は、ビットコインのようなデジタル通貨の一種で、インターネット上でやり取りされるお金のようなものです。

この発表は、最高人民法院と最高人民検察長が共同で行い、仮想資産の取引や、金融資産の交換によって得た不正な利益を他の形に変える行為は、犯罪で得たお金を隠そうとする「マネーロンダリング」に該当する可能性があると警告しています。

重大なケースへの対処基準

さらに、発表では、繰り返しマネーロンダリングが行われ、その総額が500万人民元(約9900万円)を超えた場合、または250万人民元(約495万円)以上の損害が発生した場合は、特に「重大な状況」として、より厳しい処罰の対象となることが明示されました。


このように、犯罪の規模や影響によって、どの程度の処罰が下されるかが異なるため、金融犯罪には厳しい対応が取られています。

初心者の方にとって、この基準は仮想資産を利用して違法な利益を隠すことが非常に危険であり、重大な犯罪行為として厳しく取り締まられるという点を押さえておくと理解しやすいでしょう。

中国政府の仮想通貨に対する厳しい姿勢

中国政府は長い間、仮想通貨に対して非常に厳しい姿勢を取り続けています。

2017年には、北京の市場規制当局が国内のすべての仮想通貨取引所に対してサービスの停止を命じました。

仮想通貨取引所とは、ビットコインやイーサリアムといったデジタル資産(仮想通貨)の売買を行う場所です。

この取り締まりには、コインベースのような外国の取引所も含まれ、結果的にこれらの取引所は中国国内でのサービスを提供できなくなりました。

この措置により、当時ビットコイン(BTC)の価格は3000ドルまで急落しました。

仮想通貨へのさらなる規制強化(2021年)

その後、2021年には、中国政府はさらに規制を強化しました。

新たな取り組みとして、仮想通貨に関連する個人や企業をターゲットにし、取引を抑制しようとしています。

仮想通貨関係者とは、仮想通貨の開発や取引に関わる人々や企業のことを指します。

この取り組みは、中国人民銀行(PBoC)、中国サイバースペース管理局、そして公安部といった政府機関が協力し合い、仮想通貨の利用を制限するために行われました。

このような規制の背景には、中国政府が仮想通貨の匿名性を悪用した不正行為や、金融システムへの潜在的なリスクを懸念していることがあります。

中国とマネーロンダリング

中国がマネーロンダリング(資金洗浄)に対して厳しい姿勢を取る理由には、いくつかの重要な背景があります。

マネーロンダリングは、犯罪によって得られた不正な資金を、合法に見せかけるために隠す行為であり、これが経済や社会に大きな悪影響を及ぼすため、中国政府は強力な対策を講じています。

経済の安定を守るため

中国は世界第2位の経済大国であり、その経済の安定を守ることが最優先事項の一つです。

マネーロンダリングは、金融システムを不透明にし、経済の健全性を脅かす行為です。

例えば、不正資金が市場に流入すると、不動産価格や株価に影響を与え、投資家や一般市民に不利益をもたらす可能性があります。

特に、中国は資本流出に敏感で、国外への不正な資金移動が経済に悪影響を与えることを懸念しています。

そのため、金融システムの安定を維持するために、マネーロンダリングを厳しく取り締まる必要があるのです。

腐敗や違法行為との戦い

中国政府は長年、国内の汚職や違法行為と戦っています。マネーロンダリングは、こうした不正行為と密接に結びついており、腐敗した役人や犯罪組織が違法に得た利益を隠す手段として利用されています。

例えば、政府の高官が賄賂を受け取ったり、企業が違法な手段で利益を得た場合、その資金を合法に見せかけるためにマネーロンダリングを行うことがあります。

これに対処するために、中国は徹底した規制と取り締まりを行っており、特に大規模な汚職事件には厳しい対応をしています。

国際社会との協力

中国は、国際的な金融犯罪対策にも積極的に参加しています。

例えば、金融活動作業部会(FATF)という国際組織は、世界中でのマネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐための基準を策定しています。

中国はFATFのメンバーとして、その基準に従い、国内の法制度を強化しています。

国際社会と連携することで、中国は自国の金融システムが国際的な基準に沿っていることを示し、投資家や取引相手国からの信頼を維持する狙いがあります。

 仮想通貨の普及によるリスク増加

近年、ビットコインのような仮想通貨が世界中で普及し、中国でも多くの人々が利用するようになりました。

仮想通貨は、取引が匿名で行えるため、不正資金を隠す手段として使われるリスクが高まっています。

中国政府はこの問題を強く懸念しており、仮想通貨取引の全面禁止や規制強化を通じて、マネーロンダリングのリスクに対応しています。

資本流出の防止

中国は、資本の海外流出を強く警戒しています。

マネーロンダリングによって、不正に得た資金が国外へ流出することは、中国の経済に深刻な打撃を与える可能性があります。

特に、大規模なマネーロンダリングが行われると、国内の資金が海外に流れ、国内の投資環境や経済成長に悪影響を及ぼす恐れがあるため、中国はこれを防ぐために厳しい規制を設けています。

まとめ

中国がマネーロンダリングに対して厳しい姿勢を取る背景には、経済の安定維持、腐敗や不正行為との戦い、国際基準への対応、仮想通貨のリスク管理、資本流出の防止といった要因があります。

これらの理由から、中国政府はマネーロンダリングを防ぐための法律や規制を強化し、国内外の不正資金の流れを徹底的に取り締まっています。

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