1月13日、自民党デジタル社会推進本部でweb3主査を務める塩崎彰久議員が、自身のXアカウントを通じて、9日に行われたweb3ワーキンググループ(WG)の第2回勉強会の内容を公表しました。
この勉強会では、日本の暗号資産(仮想通貨)に関する法律を見直すための重要な論点が話し合われました。
自民党デジタル社会推進本部とは?
自民党デジタル社会推進本部は、日本の自由民主党(自民党)が作ったグループで、デジタル技術を使った便利で暮らしやすい社会を目指して活動しています。
この本部では、デジタル技術を活用することで日本の経済を元気にしたり、人々の生活をより良くしたりするための計画を考えています。
たとえば、「デジタル庁」というデジタル社会を進めるための政府の組織と一緒に仕事をしたり、Web3(ウェブスリー)やブロックチェーン、暗号資産(インターネット上で使えるお金のようなもの)についての話し合いをしています。
また、これらに関係する新しい法律やルールをどうするべきかを考えています。
この本部には、専門家や国会議員が参加していて、勉強会やチームでの話し合いを通じて、具体的なアイデアをまとめています。
たとえば、「Web3ワーキンググループ(WG)」というチームが、暗号資産に関する法律について考えるための勉強会を開いています。
このようにして、自民党デジタル社会推進本部は、日本が世界のデジタル競争で活躍できるように手伝いながら、みんながもっと便利で安心して暮らせる社会を目指しています。
現在の暗号資産規制を確認
勉強会では、現在の暗号資産規制を定めている資金決済法について確認が行われました。
この法律は、暗号資産を利用する人たちを守るために作られたルールです。
例えば、暗号資産の送金や受け取りを安全に行うための仕組みが含まれています。
さらに、金融商品取引法(投資や証券取引を規制する法律)における”第1項有価証券”(株式や社債のような投資商品)と、暗号資産の扱いの違いについても話し合われました。
これによって、法律の改正に向けた方向性が検討されました。
金融商品取引法の”第1項有価証券”と暗号資産の違い
金融商品取引法(きんゆうしょうひんとりひきほう)は、投資や証券の取引に関するルールを決めた法律です。
この中に出てくる”第1項有価証券”(だいいっこうゆうかしょうけん)という言葉は、株式や社債など、投資することで利益を得ることを目的とした商品を指します。
これらは”伝統的な投資商品”とも呼ばれます。
暗号資産(あんごうしさん)は、例えばビットコインやイーサリアムなど、インターネット上で使えるデジタルなお金や財産のことです。
では、これらがどう違うのかを簡単に説明します。
目的の違い
- 第1項有価証券:企業や国などが資金を集めるために発行するもの。例えば、株式を買うことで、その企業の一部を持つ権利を得たり、社債を買うことでその企業から利息を受け取ったりできます。投資家は利益を得ることを期待して購入します。
- 暗号資産:基本的に「お金」として使うことが目的。たとえば、物を買ったり送金したりできます。直接的に利息や配当が出るわけではありません。
法律での扱いの違い
- 第1項有価証券:金融商品取引法でしっかりと管理されています。投資家を守るための厳しいルールが適用されます。
- 暗号資産:資金決済法という別の法律で管理されています。金融商品取引法とは違い、投資家保護の仕組みが簡易的な場合があります。
例えるなら株とデジタルマネー
- 第1項有価証券は、会社の成長を期待してその会社の「株」を買うようなものです。買うことでその会社の仲間になり、利益が出れば分け前をもらえます。
- 暗号資産は、お店で使える「デジタルのお金」のようなものです。買い物や送金に使えますが、そこから利息や配当は生まれません。
このように、第1項有価証券と暗号資産は目的や法律での扱い方が大きく異なります。法律を見直すことで、暗号資産もより安心して使えるようになることが期待されています。
暗号資産規制で重要な3つのポイント
勉強会では、暗号資産に関する次の3つの規制が議論されました。
- 開示規制:暗号資産の取引に関する情報をわかりやすく公開するルール。
- 参入規制:暗号資産関連の事業を始める企業が守るべき条件。
- 行為規制:暗号資産の取引所などが守るべき具体的なルール。
議論の中では、投資家を守ることの大切さや、国際的なルールと一致させる必要性も強調されました。
また、暗号資産には特別な性質があるため、古い法律にとらわれない新しい考え方が求められるという意見も出されました。
WGの今後の計画
Web3ワーキンググループは、これらの問題をさらに詳しく整理し、具体的な提案を作る予定です。これにより、日本の暗号資産の利用がより安全で便利になることを目指しています。
金融庁の取り組み
自民党だけでなく、金融庁も暗号資産に関する規制の見直しを進めています。
昨年9月に設置された金融審議会の作業部会では、暗号資産に関する議論が行われており、1月中には改正案を国会に提出する予定です。
現在の資金決済法では投資家保護が十分でない場合、暗号資産を金融商品取引法に含めることも検討されています。
このような改正によって、暗号資産の取引がより安全で信頼できるものになることが期待されています。
日本の暗号資産に関する税制
日本では、暗号資産で利益を得た場合、それは「雑所得(ざつしょとく)」として税金がかかります。
たとえば、暗号資産を売って利益が出たり、暗号資産で物を買ったときに価格が上がっていた場合、その差額に対して税金を払う必要があります。
この税率は、他の収入(給与など)と合算したうえで、5%から最大45%までの累進課税(所得が多いほど税率が高くなる仕組み)が適用されます。
一方、株式や社債などの「有価証券(ゆうかしょうけん)」で得た利益については、「分離課税(ぶんりかぜい)」が適用され、税率は一律20.315%と決まっています。
つまり、暗号資産の税金は、有価証券よりも高くなる可能性があるのです。
アメリカの暗号資産に関する税制
アメリカでは、暗号資産は「財産(Property)」として扱われています。
これにより、暗号資産で利益が出た場合、それは「キャピタルゲイン(資産の値上がりによる利益)」として課税されます。
キャピタルゲインには、保有期間によって「短期」と「長期」で税率が異なります。
- 短期キャピタルゲイン:暗号資産を1年以内に売った場合で、税率は所得税と同じ(最大37%)。
- 長期キャピタルゲイン:1年以上保有して売った場合で、税率は0%、15%、または20%と、短期よりも低く設定されています。
つまり、アメリカでは暗号資産を長く持つことで税金を減らせる仕組みがあります。
日本での暗号資産はアメリカと比べて税率が高く利益を上げるほど、手取りが大幅に減る仕組みとなっています。
アメリカではトランプ大統領就任後は更に暗号資産保有者に優位な政策が見込まれています。
日本でも暗号資産を取引しやすい政策の実行が必要です。
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