暗号資産投資における「アルトシーズン」とは?注目の理由と過去の動向を解説

暗号資産(仮想通貨)投資の世界では、「アルトコインの季節」や「アルトシーズン」という言葉がよく使われます。

これらの言葉は、ビットコイン以外の暗号資産、つまり「アルトコイン」に投資家の注目が集まる時期を指します。

アルトコインとは?

暗号資産にはビットコイン(BTC)をはじめ、数多くの銘柄があります。

ビットコインの誕生以来、イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)といった有名なアルトコインが次々と登場しました。

2024年5月現在では、「ミームコイン」と呼ばれるユニークなカテゴリのアルトコインも人気を集めています。

アルトコインは、ビットコインに対する「代替」や「オルタナティブ」という意味から名付けられています。

アルトシーズンとは?

ビットコイン以外の暗号資産がアルトコインと呼ばれるのは、ビットコインに対する「代替」や「オルタナティブ」という意味から来ています。

アルトコインがビットコインよりも高いパフォーマンスを示すとき、その時期を「アルトコインの季節(アルトシーズン)」と呼びます。

ただし、「アルトコインの季節」に共通の定義はありません。

たとえば、暗号資産価格情報サイトのブロックチェーンセンターでは、「過去90日間でトップ50のアルトコインの75%がビットコインよりも高いパフォーマンスを示した場合」をアルトシーズンと定義しています。

この定義では、価値が安定しているステーブルコインや裏付け資産と同様のパフォーマンスを示すラップドトークンは除外されています。

過去のアルトシーズン

過去に大きく話題になった「アルトコインの季節」は、2017年〜2018年、2020年、そして2021年の相場です。

ブロックチェーンセンターのデータでもこれらの時期が「アルトコインの季節」であったことが示されています。

2017年〜2018年のアルトシーズン 

この時期の「アルトコインの季節」は、ビットコインの市場シェア(ドミナンス)が大幅に低下したことが原因です。

2017年末にはビットコインのドミナンスは86.3%でしたが、2018年初頭には40%以下にまで下落しました。

この大幅な低下は、ICO(Initial Coin Offering)が活況を呈していたためです。

ICOとは、新しい暗号資産プロジェクトが資金を調達する方法で、テゾス(XTZ)などのアルトコインへの投資が集まり、多くの資金が流入しました。

2020年のアルトシーズン 

2020年8月には「DeFi(分散型金融)サマー」という用語が生まれるほど、DeFiプラットフォーム関連の暗号資産の価格が急騰しました。

DeFiは、中央の管理者なしに金融取引を行うシステムです。主要なDeFi関連銘柄はイーサリアム基盤で作られていたため、イーサリアムの価格も高騰し、「アルトコインの季節」が到来しました。

しかし、注目が高まったトークンの中には、コード監査を受けておらず、バグが見つかって価格が急落したものもあり、このアルトシーズンは1ヶ月ほどで収束しました。

2021年のアルトシーズン

 2021年3月〜6月の「アルトコインの季節」では、ミームコインのドージコイン(DOGE)やシバイヌ(SHIB)が注目されました。

この時期、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏がドージコインに度々言及し、その価格が上昇しました。

さらに、日本の柴犬をモチーフにした暗号資産であるシバイヌにも波及効果がありました。

また、この時期はNFT(非代替性トークン)も流行し、ビットコインのドミナンスは70%から40%弱にまで急落しました。

アルトシーズンが起きる理由

「アルトコインの季節」が起きる理由については、正確な原因がわかっているわけではありません。

メディアやアナリストらが「アルトコインの季節が到来か?」と報じることも多く、その期待感から注目されることもあります。

ただし、「アルトコインの季節」の前にはビットコイン価格の上昇が発生することが多いようです。

ビットコインの強気相場が到来し、価格が安定した後、投資家がより高いリターンを求めてアルトコインに資金を移すことが多いです。

この動きは、特定のアルトコインが選ばれるだけでなく、DeFiやNFTなどの新技術やトレンドに基づいてアルトコインが選定されることが多いです。

2024年には、特別な新技術が開発されたわけではなく、コミュニティが主体となったミームコインの価格上昇によって「アルトコインの季節」が訪れるのではないかと予測されています。

これは、ビットコインが過去最高値を更新し、その後価格が鈍化したことから生じた予測です。

しかし、2024年5月末時点では、頻繁にアルトコインの季節の到来について報じられているものの、ビットコインのドミナンスが2024年の年初から50%を割っておらず、ブロックチェーンセンターの指数でも数日だけ基準点を上回っただけですので、明確にアルトコインの季節だとはいえない状況です。

投資の注意点

「アルトコインの季節」にはアルトコインへの投資センチメントが向上しますが、ビットコインと比較すると多くのアルトコインは出来高が少なく、ボラティリティ(価格変動)が高いことに注意が必要です。

ボラティリティが高いということは、価格が上昇しやすい一方で、急落する恐れもあります。

実際に「アルトコインの季節」とされた2021年5月には、多くのアルトコインの価格が上昇しましたが、その後7月にかけて価格が急落しました。特に投機的な動きによって価格が異常に高騰している場合、急激な下落につながることもあります。

アルトコインの中には、過去に価格が99%下落した例もあります。

さらに、プロジェクトによっては詐欺まがいのアルトコインも存在します。

ホワイトペーパー(プロジェクトの詳細説明書)がなかったり、開発チームの透明性や実績がなかったりするようなプロジェクトには注意が必要です。

日本の暗号資産交換業者で取引されている銘柄は一定の審査を受けているため、このような事例による直接的な影響を受けたことはありませんが、常に注意しておくべきです。

これらの情報を通じて、暗号資産投資における「アルトシーズン」の重要性を理解し、今後の投資活動に役立ててください。

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