株式市場と暗号資産の関係は今後どうなる? シティの最新調査報告を解説

シティ(Citi)は、アメリカの大手銀行グループ「シティグループ(Citigroup)」の一部で、世界中で金融サービスを提供しています。

特に投資や経済の分析を行い、レポートを発表することで有名です。

今回、シティが発表した調査報告書では、「株式市場と暗号資産(仮想通貨)市場の関係が今後変わるかもしれない」という興味深い内容が述べられています。

なぜ株式市場と暗号資産市場は関係しているのか?

現在、株式市場と暗号資産市場には強い関係(相関性)があります。

その理由のひとつは、暗号資産がまだ「新しい投資先」だからです。

多くの投資家は、株式市場が不安定になると暗号資産も売却する傾向があり、その結果、両方の市場が似たような動きをするのです。

また、暗号資産は「リスク資産」と考えられています。

リスク資産とは、価格が大きく変動しやすく、投資するにはリスクがある資産のことです。

株式もリスク資産ですが、特に景気が悪くなると、投資家はリスクを避けるために株式も暗号資産も売るため、相関性が高まるのです。

今後、相関性はどうなる?

シティの報告書によると、この関係は将来的に弱まる(相関性が低くなる)可能性が高いとされています。

なぜなら、暗号資産は以下の理由でより独立した市場になっていくからです。

  1. 市場の成長:暗号資産は、より多くの人が利用し始めているため、独自の市場として成熟していく。
  2. 投資家の増加:投資する人が増えることで、株式市場とは別の動きをするようになる。
  3. 技術の進歩と普及:ブロックチェーン技術の発展により、暗号資産が実際の生活で使われる場面が増え、投資の対象としての価値が変わる。

市場の成長

暗号資産は、数年前までは一部の投資家や技術に詳しい人しか使っていませんでした。

しかし、最近ではビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産を持っている人が増え、世界中の企業や銀行も興味を持ち始めています。

たとえば、昔はインターネットも「一部の人しか使わないもの」でした。

でも、スマートフォンが普及し、ネットで買い物や動画視聴ができるようになったことで、今では誰でも使うようになりましたよね?

暗号資産も同じように、多くの人が使うことで「特別なもの」ではなくなり、より安定した市場になっていくのです。

市場が大きくなると、値動きも落ち着いてきます。

例えば、ある日突然「大手企業が暗号資産を導入する!」というニュースが出ても、利用者がすでに多ければ、過剰に反応する人が減り、急激な価格変動が起こりにくくなります。

投資家の増加

現在、暗号資産を買う人の多くは、株式市場にも投資している人たちです。

そのため、株価が下がると不安になって暗号資産も売ってしまい、両方の市場が同じように動きやすくなります。

しかし、暗号資産に投資する人が増えてくると、株式市場とは別の動きになる可能性が高まります。

例えば、今まで株しか持っていなかった人が「暗号資産は株と違う魅力がある」と思い始め、暗号資産を長期的に保有するようになれば、株価に影響されにくくなります。

これを学校のクラブ活動に例えてみましょう。

もしクラスのほぼ全員が「サッカー部」に入っていたら、サッカー部の練習が厳しくなると、みんなの気分も悪くなり、クラス全体の雰囲気も悪くなりますよね?
(=株と暗号資産が同じように動く)

でも、クラスに「バスケ部」「吹奏楽部」「茶道部」など、いろんな部活の人が増えれば、一つの部活の影響でクラス全体の雰囲気はあまり変わらなくなります。
(=暗号資産の投資家が増え、株と違う動きをするようになる)

つまり、暗号資産に投資する人が増え、いろんなタイプの投資家が市場に参加することで、株価の影響を受けにくくなるのです。

技術の進歩と普及

暗号資産は、「ブロックチェーン」という技術を使って取引されています。

この技術は、データの改ざんを防ぎ、安全に情報を管理できる仕組みです。

現在、この技術がどんどん進歩しており、暗号資産が実際の生活で使われる機会も増えています。

例えば、今では以下のような使い方が増えています。

  • 決済手段:一部のオンラインショップやお店では、ビットコインで支払いができる。
  • 送金:国をまたいだ送金が、銀行よりも速くて安くできる。
  • ゲームやNFT:デジタルアートやゲーム内アイテムの売買に利用される。

これを「ポイントカード」に例えてみましょう。

昔は、スーパーのポイントカードはそのお店でしか使えませんでした。

でも、最近では「共通ポイント」が登場し、いろんなお店やサービスで使えるようになっていますよね?(例:Tポイント、楽天ポイント)

暗号資産も同じように、さまざまな場所で使えるようになれば「単なる投資対象」ではなく、「実際に使えるお金」に変わっていきます。

そうなると、株のように会社の業績に左右されるものとは違う価値を持つようになり、株式市場とは別の動きをするようになるのです。

✅ 市場の成長 → 利用者が増えて市場が成熟すると、価格の変動が落ち着く
✅ 投資家の増加 → いろんなタイプの投資家が参入することで、株式市場と違う動きをする
✅ 技術の進歩と普及 → 生活の中で使われる機会が増え、独自の価値を持つようになる

これらの変化が進めば、暗号資産は「株とセットで動く投資商品」ではなく、「独立した市場」として成長していくかもしれません。

アメリカの規制が変わるとどうなる?

シティのアナリストによると、アメリカでより透明性の高いルール(規制)が整えば、暗号資産は株式とは違った動きをするようになると考えられています。

これにより、価格の変動が独自の要因によって決まるようになり、相関性がさらに低くなる可能性があるのです。

シティのアナリストが言っている「透明性の高いルール(規制)」とは、暗号資産の取引や運営に関するルールをもっと明確にし、みんなが安心して使えるようにすることです。

現在、暗号資産は「どんなルールで運営されるのか」が国によって違ったり、不明確な部分があったりします。

そのため、投資家は「この暗号資産は安全なの?」「急に規制が変わって取引できなくなるかも?」と不安になることがあります。

アメリカで明確なルールが整えば、暗号資産がもっと信頼できるものになり、価格も安定しやすくなる可能性が高いと考えられます。

具体的にどんなルール?

🔹 取引所のルールを明確にする
→ 例えば「どの暗号資産を売買できるのか」「不正取引を防ぐためにどんな仕組みが必要か」などのルールを決める。

🔹 企業が暗号資産を扱う際のルールを決める
→ 例えば「企業が暗号資産を使ったサービスを提供するときは、一定の条件を守る」などの規制を整える。

🔹 投資家を守るルールを作る
→ 例えば「詐欺コイン(価値のない暗号資産)を販売することを禁止する」「不正な価格操作を防ぐ」などの対策をする。

この「透明性の高いルール」がどういうものか、学校の 「試験ルール」 に例えてみましょう。

📌ルールが不明確な場合(現在の暗号資産市場)
試験があるのに、「何を勉強すればいいかわからない」「試験時間がバラバラ」「カンニングしてもいいのかダメなのかはっきりしない」状態だと、みんな不安になりますよね?

それと同じで、暗号資産のルールが不明確だと、投資家も「何が起こるかわからない」と思い、不安定になりやすいのです。

📌 透明性の高いルールがある場合(整備された暗号資産市場)
「試験範囲がしっかり決まっている」「カンニングは禁止と明確にされている」「試験時間もちゃんと決まっている」 というルールがあると、みんな安心して試験に臨めますよね?

これと同じで、暗号資産の取引ルールがしっかり決まれば、投資家も安心して取引できるようになります。

ルールが整うと何が起こるの

✅ 暗号資産の価格が安定しやすくなる
ルールが明確になることで、投資家が安心して取引できるようになり、価格が急に乱高下しにくくなる。

✅ 詐欺や不正が減る
はっきりしたルールがあると、怪しい暗号資産が市場に出回りにくくなる。

✅ 株式市場とは違った動きをするようになる
現在は「ルールが曖昧だから不安」という理由で売られることもあるが、規制が明確になれば、暗号資産が「独自の価値を持つもの」として成長しやすくなる。

透明性の高いルール」とは、暗号資産市場がもっと安全でわかりやすくなるためのルールのことで暗号資産のルールが明確になれば、投資家も安心して取引できるようになっていきます。

ビットコインの価格変動はどうなる?

シティは「ビットコイン(BTC)の価格の変動(ボラティリティ)は、今後安定していく可能性が高い」と予測しています。

なぜなら、機関投資家(銀行や大企業などのプロの投資家)が暗号資産を購入し始めており、市場がより安定してくると考えられるからです。

最後に、シティは「2024年に暗号資産は米国株と比べて最も時価総額が成長した資産クラスだった」と指摘しています。これは、暗号資産市場が今も成長を続けており、多くの投資家が注目していることを意味します。

今後、暗号資産市場がさらに独自の動きをするようになれば、株式市場との関係も変わっていくかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA