アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで、イーサリアム(Ethereum)という仮想通貨やその技術基盤であるブロックチェーンが、高校の授業で学べるようになります。
この取り組みは、ETH Kipu財団とブエノスアイレス市が協力して進めるものです。
ETH Kipu財団は、イーサリアムの技術を広めるために活動している組織で、ブロックチェーン技術を教育の現場に導入することに力を入れています。
このプログラムでは、学生たちが実際にブロックチェーン技術を使ったプロジェクトに取り組む機会も提供される予定です。
ブロックチェーンとは、取引情報などを安全に管理するための技術で、イーサリアムはその一つの応用例です。
この新しいプログラムは、2024年8月27日からスタートし、学生に実践的な経験を通じて将来のキャリアに役立つスキルを身につけてもらうことを目指しています。
Solidityのオンラインコースとその目的
ETH Kipu財団は、Solidity(ソリディティ)というプログラミング言語を使ったオンラインコースも開始すると発表しました。
Solidityは、イーサリアムというブロックチェーンの上でスマートコントラクト(自動的に実行される契約)を作るための言語です。
このコースは、18歳以上の500人の学生を対象に行われ、分散型アプリケーション(DApps)と呼ばれる新しいタイプのアプリを開発するためのトレーニングを提供することを目指しています。
財団は、このコースのために30人のインストラクターを用意し、学生たちがイーサリアムとブロックチェーン技術について実践的に学べる環境を整えています。
イーサリアムの高校カリキュラムへの統合とその意義
ETH Kipu財団の共同創設者であるパウラ・ドイ氏は、イーサリアムを高校のカリキュラムに統合することが、学生に新しい技術を教えるだけでなく、未来を形作るためのツールを提供することになると述べています。
この取り組みにより、若者たちには新しいキャリアの道が開かれ、アルゼンチンが世界のブロックチェーン技術のリーダーになるための基盤が作られると期待されています。
ETH Kipu財団は、特にラテンアメリカでのイーサリアム教育に力を入れており、この地域での技術普及を目指しています。
過去のイベントと今後の展望
8月7日には、ETH Kipuとイーサリアム財団が共同で、ブロックチェーンについて学ぶためのワークショップを開催しました。
このイベントには200人の学生が参加し、イーサリアムの基礎を学びました。
ETH Kipu財団は、このワークショップが、ブエノスアイレスの高校でのブロックチェーン教育を始めるための「発射台」として機能したと評価しています。
このような取り組みを通じて、今後ますます多くの学生がブロックチェーン技術を学び、その未来を担うことが期待されています。
アルゼンチン以外の仮想通貨が普及している国は?
アルゼンチン以外でも、いくつかの国では仮想通貨が広く普及しており、その背景にはそれぞれの国の経済状況や社会的要因が影響しています。以下はその例です。
ベネズエラ
ベネズエラは、アルゼンチンと同様に深刻なインフレに悩まされている国です。
ベネズエラのインフレ率は数百万パーセントに達したことがあり、国民の多くが自国通貨であるボリバルを避け、仮想通貨に頼るようになりました。
ビットコインや他の仮想通貨は、日常的な支払いから資産保全まで幅広く利用されており、ベネズエラは仮想通貨の取引量が非常に多い国の一つです。
ナイジェリア
ナイジェリアでは、仮想通貨が特に若い世代の間で非常に人気があります。
この国では銀行システムへのアクセスが限られているため、仮想通貨が金融包摂(フィナンシャル・インクルージョン)の手段として広く利用されています。
さらに、ナイジェリアの若者たちは、海外送金やオンラインビジネスの支払いに仮想通貨を使用しており、ビットコインや他の仮想通貨の採用が進んでいます。
トルコ
トルコもまた、インフレ率の上昇と通貨の不安定さが原因で、仮想通貨の採用が急速に進んでいる国の一つです。
トルコリラが大きく価値を下げた際、多くの市民が資産を守るためにビットコインなどの仮想通貨に切り替えました。
また、トルコでは仮想通貨に対する関心が高く、取引量も増加しています。
フィリピン
フィリピンでは、海外で働く多くのフィリピン人労働者が、仮想通貨を利用して本国の家族に送金を行っています。
従来の送金サービスよりも手数料が安く、迅速であるため、仮想通貨が魅力的な選択肢となっています。
また、フィリピンでは、仮想通貨を使った新しいビジネスモデルやアプリケーションが増えており、採用が進んでいます。
エルサルバドル
エルサルバドルは、世界で初めてビットコインを法定通貨として採用した国です。
2021年にビットコイン法を施行し、ビットコインを公的な決済手段として認めました。
この法律の施行により、国内の商店やサービス業者はビットコインでの支払いを受け入れることが義務付けられており、国全体で仮想通貨の利用が推進されています。
これらの国々では、経済的な困難や銀行システムの制約が仮想通貨の普及を後押ししており、アルゼンチンと同様に仮想通貨が重要な役割を果たしています。
今後のアルゼンチンにおける仮想通貨政策の展望
アルゼンチンの仮想通貨政策は、今後の経済状況や国際的な圧力、国内のイノベーション促進といった複数の要因に大きく左右されると考えられます。
長期にわたるインフレと通貨の不安定さが続く中、政府は仮想通貨の普及に対する対応を迫られています。
これに伴い、仮想通貨取引に対する税制改革や規制の強化が進む可能性が高いでしょう。
また、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入も検討されるかもしれません。
これは、デジタル経済の発展を促進しつつ、仮想通貨の影響をコントロールする手段となり得ます。
さらに、国際通貨基金(IMF)や周辺国との協調が求められる一方で、ブロックチェーン技術を活用したイノベーションの促進にも注力する必要があります。
アルゼンチンの仮想通貨政策がどのように進化していくかは、国内外の多くの要因に依存しており、その動向を注視することが重要です。
日本における暗号資産教育の現状と展望
日本では、暗号資産に関する教育が徐々に広がりつつありますが、まだ初期段階にあります。
一部の大学や専門学校では、ブロックチェーン技術や暗号資産に関する講座が提供されており、法規制や技術的な側面について学ぶ機会が増えています。
また、企業や専門団体が主催するワークショップやセミナーも増加しており、ビジネスパーソンや学生が実践的なスキルを習得する場が提供されています。
中学・高校では、暗号資産に関する教育が広く取り入れられているわけではありませんが、情報リテラシー教育の一環として基本的な概念が紹介されることがあります。
今後、社会での暗号資産の普及に伴い、教育分野でもその理解を深めるための取り組みが進むことが期待されます。
政府や教育機関がこの分野に注力し、より専門的な教育プログラムが導入される可能性もあります。
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