参照元：コインテレグラフジャパン
世界最大級の資産運用会社であるブラックロックは、最近ビットコイン（BTC）に関する注目すべきレポートを発表しました。
ブラックロックは、ビットコインを投資家にとって「ユニークな分散投資」だと強調しています。
ここでの「分散投資」とは、リスクを最小限に抑えるために資産を複数の異なる投資先に分ける方法です。
さらに、この分散投資は伝統的な金融リスクや地政学的リスク（例えば、経済の不安定さや国際的な緊張によって生じるリスク）から切り離されていると述べています。
ビットコインは、法定通貨（国が発行するお金）とは異なり、ブロックチェーンという技術によって管理されているデジタル資産です。
これにより、従来の株式や債券などとは異なる新しい投資の形として注目されています。
本記事では、ブラックロックの見解をもとに、初心者でも理解しやすい形でビットコインの特徴や分散投資のメリットについて解説していきます。
ブラックロック（BlackRock）
アメリカに本拠を置く世界最大の資産運用会社であり、運用資産は数十兆ドルに上ります。
1988年に設立され、主に年金基金、政府機関、企業、個人投資家などの資産を管理しています。
彼らが提供するサービスは、投資信託、上場投資信託（ETF）、年金プラン、退職金運用など、多岐にわたります。
ブラックロックが特に有名なのは、iSharesというブランドのETFです。
ETFは、株式や債券、コモディティ（商品）などに投資することで、投資家が幅広い資産クラスに簡単にアクセスできる仕組みです。
iSharesは世界中で人気があり、個人投資家から機関投資家まで多くの人々に利用されています。
さらに、ブラックロックは資産運用においてリスク管理を非常に重視しており、Aladdin（アラジン）という独自のリスク管理システムを持っています。
このシステムは、金融市場のリスクを精密に分析し、適切な投資判断をサポートするために利用されています。
ブラックロックの規模や影響力は巨大で、世界中の市場に影響を与えるほどです。
ビットコインや他の暗号資産にも目を向け始め、こうした新しい資産クラスに関心を持つ投資家向けにレポートを発表するなど、金融市場のトレンドに敏感に対応しています。
ビットコインの分散型とパーミッションレスな性質
ブラックロックのレポートでは、ビットコインが持つ分散型とパーミッションレス（誰でも制限なく利用できる）という2つの重要な性質が、注目されています。
分散型とは、ビットコインが特定の中央機関や政府によって管理されていないことを指します。
つまり、特定の権力に依存せず、ネットワーク全体が取引を管理しているのです。
また、パーミッションレスという特性により、誰でも自由にビットコインを利用でき、銀行のような仲介者を必要としない点も評価されています。
このため、ビットコインは「真にオープンアクセスな通貨システム」として位置付けられています。
カウンターパーティーリスクがないという利点
ブラックロックは、ビットコインが「伝統的なカウンターパーティーリスクがない」点も強調しています。
カウンターパーティーリスクとは、金融取引において取引相手が破綻したり、契約を履行できなくなるリスクのことです。
銀行や証券会社などの仲介機関が存在する通常の金融システムでは、このリスクが避けられません。
しかし、ビットコインは、ピアツーピア（個人間）の取引が可能なため、カウンターパーティーに依存せず、安全に取引できるのです。
この仕組みによって、ビットコインはより強固な資産と見なされています。
地政学的リスクや他のマクロリスクに対する強さ
ビットコインは、銀行システムの危機、政府の財政問題、通貨の価値の低下、さらには地政学的な混乱（国際的な対立や政治的リスク）といった、大規模な経済や政治のリスク、いわゆるマクロリスクから基本的に切り離されています。
ブラックロックは、ビットコインがこれらのリスク要因に強いことを指摘しており、実際に過去の重要な地政学的イベントの際には、ビットコインのリターン（投資利益）がS&P500や金価格を上回ったというデータも示しています。
これにより、ビットコインは投資家にとって有力な資産保全の手段として注目されています。
このように、ビットコインは分散型でカウンターパーティーリスクがないという性質に加え、地政学的リスクや経済的危機に対しても強い資産として評価されています。
長期的な投資先として、ビットコインの可能性に注目する投資家が増えている理由がここにあります。
地政学的リスクとは？
地政学的リスクとは、国と国の間や地域内で起きる政治的な問題や対立によって、経済や市場に影響が出るリスクのことです。
たとえば、戦争や紛争、貿易をめぐる争い、外交の問題などがこれに当たります。
これらのリスクは、一つの国だけでなく、世界全体の経済や投資に影響を与える可能性があるため、投資家にとっても重要なポイントになります。
具体的な例：戦争や経済制裁
戦争が起こると、その国だけでなく、他国も影響を受けます。例えば、輸出入が止まってしまい、物の流れがストップすることがあります。
これは「サプライチェーンの混乱」と呼ばれ、企業が原材料を手に入れられず、商品の生産ができなくなることがあります。
また、経済制裁という形で、特定の国が他国との貿易を制限されることも地政学的リスクの一例です。
地政学的リスクの影響：市場の不安定さ
こうした地政学的リスクが高まると、株価が下がったり、通貨の価値が急激に変動したりします。
特に、政治や経済が安定しない国の通貨は、急に価値が下がることがあります。これにより、投資家は予期せぬ損失を被ることがあるため、地政学的リスクをしっかりと理解し、リスクに備えることが重要です。
ビットコインが注目される理由
ビットコインは、地政学的リスクの影響を受けにくい資産として注目されています。
なぜなら、ビットコインは政府や中央銀行によって管理されているわけではなく、世界中どこでも使えるデジタル通貨だからです。
そのため、特定の国の政治的な問題に左右されにくく、分散投資の一環として活用されることが増えています。
ビットコインの普及とマクロ経済的な懸念
ブラックロックのレポートによれば、ビットコインの普及は、マクロ経済的な懸念、つまり世界全体の経済状況によって大きく影響されるとしています。
たとえば、世界的な通貨の不安定さや地政学的な問題（国際的な政治的緊張や対立）が増すと、人々はビットコインのような安全な資産に目を向ける傾向があります。
さらに、アメリカの財政や政治の安定性が揺らぐと、ビットコインの普及はさらに加速する可能性が高いと考えられています。
これらの要因が長期的にビットコインの成長を左右する大きなポイントとなるでしょう。
ブラックロックとビットコインETFの市場シェア
ブラックロックは、ビットコイン関連の金融商品を提供する世界最大級の資産運用会社であり、ビットコインの上場投資信託（ETF）市場でも大きな影響力を持っています。
ETFとは、株式のように簡単に売買できる金融商品で、ビットコインそのものを直接購入しなくても投資できる仕組みです。
ブラックロックは、このビットコインETF市場の約38%を占め、214億ドル（約2兆円）以上のビットコインを保有しています。
これにより、ビットコイン普及の推進力としても大きな役割を果たしています。
世界的な通貨の不安定さとは？
世界的な通貨の不安定さとは、国の通貨の価値が大きく変動する状況を指します。
例えば、経済が弱くなったり、インフレ（物価が急に上がること）が進行すると、その国のお金の価値が急激に下がることがあります。
これが「通貨の不安定さ」です。
特に、政治的な混乱や経済危機の際には、通貨が信頼できなくなり、国民や投資家は価値が安定している他の資産に目を向けるようになります。
通貨の不安定さが起きる原因
通貨の不安定さは、さまざまな原因で発生します。
例えば、政府が大量にお金を刷りすぎると、お金の価値が下がり、物価が上がるインフレが起こります。
また、経済の成長が止まり、失業率が高くなると、その国の通貨は他の国の通貨に比べて価値が下がることがあります。
政治的な不安定や政府の財政状況が悪化することも、通貨の不安定さにつながる重要な要因です。
ビットコインが注目される理由
通貨が不安定になると、ビットコインのようなデジタル資産が注目されます。
なぜなら、ビットコインは特定の国の通貨や政府に依存しておらず、世界中で同じ価値を持つためです。
たとえば、自国の通貨が急に価値を失うような状況でも、ビットコインはその影響を受けにくいという特徴があります。
これは、経済が不安定な時期にビットコインが安全な資産と見なされる理由の一つです。
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