オープンハウスが暗号資産決済を導入:ビットコイン・イーサリアムで不動産購入が可能に

不動産大手のオープンハウスグループが、2024年1月31日から暗号資産(仮想通貨)を使った決済を開始しました。

まずは、不動産投資を考えている方向けの物件からスタートし、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)の2種類に対応します。


これは、日本国内だけでなく、海外の顧客にも不動産購入をスムーズに行ってもらうための新しい取り組みです。

オープンハウスグループとは?

株式会社オープンハウスグループは、東京都千代田区に本社を置く不動産会社のグループを統括する会社です。

不動産の売買や投資、マンションの販売など、さまざまな事業を展開しています。

もともとは1996年11月に「株式会社アプローズ」として設立され、その後1997年に「株式会社オープンハウス」に社名を変更しました。

さらに、2022年には持株会社体制へ移行し、「株式会社オープンハウスグループ」という現在の名称になりました。

オープンハウスグループの売上規模は、1兆1,484億8,400万円です。

これは不動産業界で4番目に高い売上高で、創業以来右肩上がりに成長しています。

オープンハウスの売上構成比は、戸建関連事業と収益不動産事業が約90%を占めています。

オープンハウスグループの事業内容

オープンハウスグループは、特に都市部での不動産事業を得意としており、次のようなサービスを提供しています。

  • 新築戸建て住宅の販売
  • 不動産仲介(売買をサポート)
  • マンションの販売
  • 不動産投資のサポート

また、住宅の購入に必要な電気・水道・ガス・インターネットの手続きをまとめてできる「おうちリンク」というサービスも提供しており、住まいに関する幅広いサポートを行っています。

さらに、オープンハウスグループはデジタル技術の活用にも力を入れています。

たとえば、AI(人工知能)を使って業務の効率化を進めたり、「営業活動×デジタル」の組み合わせで事業を成長させています。

その取り組みが評価され、2022年3月には経済産業省から「DX(デジタル変革)認定企業」として認められました。

また、2018年には、世界的な経済誌「フォーブス」によって「アジアの優良上場企業50社」に選ばれるなど、急成長している企業の一つとして注目を集めています。

オープンハウスグループに関する問題やトラブル

オープンハウスグループは急成長している不動産会社ですが、その一方でさまざまな問題やトラブルが報道されています。

特に、社員の不正行為や住宅の施工不良、顧客への不適切な対応などが問題視されています。

たとえば、社員が振り込め詐欺に関与して逮捕されたり、幹部が部下に暴言を吐いてパワハラを行ったことが発覚しました。

また、新卒採用試験を受けた学生に対しても「頭が悪い」などの暴言を吐く問題がありました。

さらに、販売した新築住宅に欠陥が見つかったり、住宅ローンの不正利用を顧客に指示したりと、不動産業務に関する問題も発生しています。

中には、顧客情報を不正に流出させた元社員が逮捕される事件もありました。

これらの問題は、企業としての信頼を大きく揺るがすものであり、オープンハウスグループが今後どのように改善していくのかが注目されています。

オープンハウスグループに関する数々の問題や不祥事は意外と広く知られていません

その理由の一つとして、同社が多くの有名メディアのスポンサーを務めていることが挙げられます。

メディアスポンサーになることで、自社にとって都合の悪いニュースが大きく報道されにくい状況が生まれている可能性があります。

例えば、オープンハウスはテレビCMを積極的に放映しており、特に地上波の主要テレビ局での広告出稿が多いことで知られています。

また、スポーツイベントのスポンサーとしても活動しており、2023年にはプロ野球・読売ジャイアンツの公式スポンサーになったことで話題になりました。

さらに、週刊誌やオンラインニュースサイトにも広告を掲載しており、スポンサー企業に不利益な記事を控えるメディアもあると考えられます。

こうした影響もあり、オープンハウスの住宅ローンの不正指示や施工不良、パワハラ問題などがテレビや新聞で大々的に報じられることは少なく、主に「週刊文春」など一部の独立系メディアが取り上げる程度にとどまっています。

そのため、一般の人々には問題が十分に認識されていない可能性があります。

企業が広告を通じてメディアとの関係を強化することで、報道のあり方に影響を与えるケースは珍しくなく、オープンハウスグループの事例もその一例といえるでしょう。

なぜ暗号資産決済を導入するのか?

今回、オープンハウスがビットコインとイーサリアムによる決済を導入した背景には、暗号資産市場の拡大があります。


特に、2024年にアメリカでビットコインETF(上場投資信託)が承認されたことがきっかけで、世界的に暗号資産の取引量が増加しました。

まず「ETF」とは「上場投資信託」のことです。

これは株式市場(証券取引所)で売買できる投資商品の一つで、たとえば「金(ゴールド)ETF」なら、金を持っていなくても、株のように買うだけで金に投資できる仕組みです。

これまでは、ビットコインを買いたい人は、仮想通貨の取引所で口座を作って、直接ビットコインを買う必要がありました。 

でも、ETFができたことで、証券会社を通じて「ビットコインETF」を買うだけで、ビットコインに投資できるようになったのです。

つまり、仮想通貨の専門知識がなくても、一般の投資家や企業、年金基金などがビットコインに投資しやすくなったということです。


実際に、2024年のビットコインの取引額は19兆ドル(約2940兆円)を超え、価格も12月には史上初の10万ドル(約1540万円)を突破しました。

また、日本国内でも暗号資産を利用する人が増えており、取引所の口座開設数や預託金が大きく伸びていることが分かっています。


例えば、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)のデータによると、2024年11月時点で約1100万の口座が開設され、取引所に預けられている資産総額は約2.9兆円に達しました。

このような市場の拡大を受けて、オープンハウスは「暗号資産で不動産を購入したい」という需要に応える形で決済手段として導入しました。

暗号資産決済のメリット

暗号資産を使った決済には、国境を超えた支払いがスムーズになるという大きな利点があります。

特に海外の投資家にとっては、日本円に換える手間や送金手数料を気にせずに取引できるため、不動産購入のハードルが大幅に下がるというメリットがあります。

また、オープンハウスは海外資本を積極的に取り込みたいと考えており、暗号資産決済を導入することで、海外の投資家が日本の不動産市場に参入しやすくなる環境を整えています。 

日本国内の投資家だけでなく、海外からの資金流入を促進し、グローバルな市場での競争力を高める狙いがあります。

さらに、オープンハウスは「暗号資産の価格変動を投機的なものではなく、実際の決済手段として活用する」ことを目指しており、今後は越境決済や少額決済(マイクロペイメント)の分野にも活用を広げていく予定です。

こうした取り組みにより、国際的な投資家が安心して日本の不動産市場にアクセスできる環境を整え、さらなる成長を目指しています。

暗号資産と越境決済

越境決済(えっきょうけっさい)とは、国をまたいで行われる支払いのことです。

英語では「Cross-Border Payment(クロスボーダーペイメント)」といいます。

例えば、日本に住んでいる人が海外の通販サイトで商品を買うときや、海外の投資家が日本の不動産を買うとき、支払いは国を超えて行われます。

このように、違う国の通貨で取引される支払いのことを「越境決済」と呼びます。

暗号資産(仮想通貨)を使うと、越境決済の問題を解決できると言われています。

✅ 手数料が安い → 暗号資産は、銀行を通さずに送金できるため手数料が大幅に削減される。
✅ 送金が早い → ビットコインなどを使えば、数分〜数時間で送金が完了する。
✅ 世界共通の通貨 → ビットコインやイーサリアムは国を超えて同じ価値を持つため、通貨の両替が不要。

そのため、オープンハウスグループのように海外投資家をターゲットにする企業は、暗号資産を使った越境決済の導入を進めているのです。

まとめ

オープンハウスグループは、ビットコインとイーサリアムによる不動産決済をスタートし、グローバルな顧客にも対応できる体制を整えました。

日本国内でも暗号資産の利用が広がる中、不動産購入の新しい選択肢として、暗号資産決済の普及が進む可能性があります。

今後、どのような展開を見せるのか、引き続き注目したいですね。

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