暗号資産市場の新たな潮流:短期投機から長期安定投資への転換

皆さんは、暗号資産(仮想通貨)と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか?

「価格が大きく動いて、一気に儲かるかもしれないけれど、逆に損をすることも多い」という印象を持っている方も多いかもしれません。

実際、2021年には多くの個人投資家が暗号資産市場に参入し、短期間で価格が大きく上昇しました。

しかしその後、急激な値動きが続き、不安定な市場に振り回された投資家も少なくありませんでした。

ところが、2024年に入り、暗号資産市場の流れが大きく変わってきています。

ヨーロッパの大手暗号資産取引所 Bitpanda(ビットパンダ) のCEOである エリック・デムス氏 は、「現在の市場は、短期的な投機ではなく、より安定した長期投資へと移行している」と述べています。

この変化の背景には、機関投資家(大手銀行や投資ファンドなどのプロの投資家) の市場参入が増えていることがあります。

彼らが投入する資金は、「粘着性の高い資金(Sticky Money)」と呼ばれ、すぐに売却されることが少なく、長期的な運用を目的としているのが特徴です。

そのため、これまでのように短期間で大きな値動きをすることが減り、市場全体がより安定してきているのです。

また、ビットコインETF(上場投資信託)の成長も、この市場の成熟を示す大きな要因です。

ETFとは、証券取引所で取引できる投資信託のことで、ビットコインETFは、ビットコインの価格に連動する金融商品 です。

これによって、暗号資産に直接投資するのはハードルが高いと感じていた機関投資家も、比較的安全に暗号資産市場に参加できるようになりました。

さらに、今後は アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産) のETFも承認される可能性があり、市場はますます発展していくことが期待されています。

そして、銀行がビットコインを取り入れ始めている ことも注目すべきポイントです。

これが進めば、暗号資産がより身近な存在になり、私たちの日常生活の中でも活用される場面が増えていくかもしれません。

Bitpandaのエリック・デムスCEOとは?

エリック・デムス氏は、オーストリア・ウィーンに本社を構える暗号資産取引所 Bitpanda(ビットパンダ)の共同創設者であり、最高経営責任者(CEO)を務めています。

Bitpandaは、600万人以上のユーザーを抱えるヨーロッパ最大級の暗号資産取引所の一つであり、暗号資産に加えて株式や貴金属などの取引サービスも提供しています。

近年、同社は 英国の金融行動監視機構(FCA)から事業運営の認可を取得し、さらなるサービス拡大を進めています。

英国金融行動監視機構(FCA)の認可の意味

英国金融行動監視機構(FCA) とは、金融サービス業界を監督・規制する英国の政府機関です。

BitpandaがFCAの認可を受けたということは、同社が 英国の厳格な規制基準を満たしている ことを意味します。

これにより、英国のユーザーはBitpandaのサービスを 安心して利用できる ようになり、同社の 信頼性や透明性 が一層高まることにつながります。

2021年の個人投資家ブーム

2021年には、暗号資産市場は 個人投資家の熱狂的な投資 によって急成長しました。

ビットコインをはじめ、多くの暗号資産が 短期間で急騰 し、多くの人が一攫千金を狙って投資に参入しました。

しかし、この時期の市場は 投機的な取引 が中心で、価格の変動も非常に激しいものでした。

その結果、2022年には大きな調整が入り、多くの個人投資家が損失を抱えることとなりました。

これに対し、2024年の市場は 長期投資を目的とする機関投資家が主導する形に変わりつつある のです。

トランプ政権の積極姿勢:暗号資産は「必須」の時代へ

トランプ政権の下で、アメリカは暗号資産(仮想通貨)に対して 積極的な姿勢 を取っています。

これにより、世界の金融市場も 「暗号資産を受け入れざるを得ない状況」 になっているようです。

エリック・デムスCEOは、こうした変化について 「もはや選択肢ではなく、暗号資産は必須になっている」 とコメントしています。

この変化の一番わかりやすい例が、ビットコインETF(上場投資信託)の成長 です。

ETFとは、証券取引所で売買できる投資信託のことで、ビットコインETFは ビットコインの価格に連動する金融商品 です。

ビットコインETFが登場して わずか1年で580億ドル(約8兆7000億円) の資産が運用されるようになり、多くの大手投資家が参加するようになりました。

以前のように「短期で儲ける」ことを目的とした投資ではなく、長期的な視点での資産運用 へとシフトしているのです。

今のところ、アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)は そこまで普及が進んでいません

しかし、アメリカの規制が整い、アルトコインのETFが承認されれば、状況は大きく変わるかもしれませんね。

次の波は銀行による採用

暗号資産を使った次の大きな動きとして、銀行が本格的に参入してくる ことが予想されています。

デムスCEOは、「暗号資産はアメリカの経済・金融政策の柱の一つになりつつある」 と語っています。

つまり、世界最大の経済大国であるアメリカが暗号資産を積極的に取り入れるなら、他の国の銀行も無視できない状況になる というわけです。

これからの銀行は、ただ 「暗号資産に注目する」 だけでなく、何らかの形で暗号資産を取り扱う必要が出てくる かもしれません。

具体的には、米国の銀行が直接発行するステーブルコイン の増加が考えられます。

ステーブルコインとは、法定通貨(ドルや円)と連動した安定した暗号資産 のことで、決済手段としての利用が広がる可能性があります。

また、トークン化資産(不動産や国債をデジタル化した資産) の活用も増えていくと見られています。

これにより、今まで投資が難しかった高額な資産でも 少額から簡単に投資できる時代 がやってくるかもしれません。

日本の銀行における暗号資産サービスの動向

現在、日本では 金融庁や日本銀行がステーブルコインや中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する議論や実証実験 を進めています。

しかし、2025年2月時点では、日本の主要な銀行が 暗号資産の直接的な取引サービスを提供する動きは限定的 です。

一方で、デジタル円の導入に向けた検討や ブロックチェーン技術を活用した新たな金融サービスの開発 が進んでおり、今後の展開が注目されています。

暗号資産市場は、これまでの 個人投資家主導の短期的な投機 から、機関投資家による長期的で安定した投資へと移行しつつあります。

Bitpandaの エリック・デムスCEO は、この変化を 市場の成熟の証 と考えており、今後さらに多くの 金融機関が暗号資産市場に参入 してくる可能性が高いと述べています。

また、日本においても、規制当局や金融機関が 暗号資産やデジタル通貨の取り組みを強化 しており、今後の動向に期待が寄せられています。

暗号資産市場の未来は、これからますます 安定した投資の場 へと進化していくかもしれませんね。

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