大阪万博2025に行く前に知っておきたい万博の歴史と今も続く理由

大阪で2025年に開催されている国際博覧会(大阪万博2025)

このビッグイベントに行こうと考えている人も多いでしょう。

そんな皆さんのために、万国博覧会(万博)の始まりから歴史、目的や意義、そしてなぜ現代でも開催され続けているのかを、誰でもわかるやさしい言葉で解説します。

万国博覧会(万博)とは?

万博」とは「万国博覧会」の略称で、世界中の国々や企業が集まり最新の技術や文化を披露する場です。

正式には国際条約(国際博覧会条約)に基づいてBIE(博覧会国際事務局)が認定する国際的な博覧会を指し、その主な目的は公衆の教育にあります。

たくさんの国や地域が参加し、科学技術の発展や環境問題など様々なテーマで世界中から人と知恵が集まるイベントです。

万博の会場では各国のパビリオン(展示館)が建ち並び、先端技術や伝統文化の展示、未来の暮らしのコンセプト紹介などが行われます。

来場者は世界中の最新の発明品に触れたり、多様な文化に出会ったりすることで新しい知識やアイデアを得ることができます。

例えば、1851年のロンドン万博では当時画期的だったエレベーターが初めてお披露目され、1939年のニューヨーク万博ではテレビが紹介され人々を驚かせました。

また1970年の大阪万博ではインスタントラーメンの「カップヌードル」や大型映像のIMAXシアターが登場し、その後広く普及しています。

このように万博は未来の技術や文化の見本市として、新しいアイデアや製品が生まれるきっかけにもなっているのです。

万国博覧会の始まりと歴史

人類が異なる地域の技術や文化を展示しあうイベントの歴史は古く、紀元前のエジプトやローマでも戦利品や工芸品を民衆に公開する催しがあったと言われます。

近代的な万国博覧会の幕開けは1851年のロンドンで開催された「第1回ロンドン万国博覧会(ザ・グレート・エキシビション)」です。

当時世界の工業をリードしていたイギリスがハイドパークに巨大な展示会場(水晶宮)を設け、世界25か国が参加しました。これが史上初の本格的な万博であり、その成功以降、19世紀後半には欧米を中心に万博ブームが起こります。

その後も世界各地で有名な万博が開催されました。

例えば1889年のパリ万博はフランス革命100周年を記念して開かれ、このとき記念に建設されたのが有名なエッフェル塔です。

エッフェル塔は万博のシンボルとして建てられ、現在もパリのランドマークとして残っています。

また1964年のニューヨーク万博(この万博は非公式開催でした)では、今もNYのフラッシング・メドウズ公園に巨大な地球儀(ユニスフィア)のモニュメントが残されています。

万博はこのように後世に残るモニュメントや記念施設を生み出すこともあります。

日本で開催された万博の歩み

日本も世界の万博に影響を受け、19世紀には海外の万博へ参加していました(日本が初めて万博に出展したのは1867年のパリ万博です)。

そして20世紀になり、ついに日本で万博を開催しようという動きが起こります。

日本で最初の万博誘致計画は1890年でしたが「時期尚早」と見送られ、1940年にも一度開催準備が進み入場券発売まで行ったものの第二次世界大戦で中止となりました。

戦後、日本が経済復興を遂げたあと、ようやく実現したのが1970年の大阪万博です。

日本で初めて開催された1970年の日本万国博覧会(大阪万博)は、「人類の進歩と調和」をテーマに掲げ、世界中から76か国が参加した大規模な博覧会でした。

芸術家の岡本太郎氏が制作した高さ70メートルのシンボル塔「太陽の塔」が会場中央に立ち、183日間の会期に約6422万人もの人々が来場する大成功を収めました。

太陽の塔は万博終了後も大阪に残され、現在も万博記念公園の象徴として親しまれています。

その後も日本各地で万博が開催されています。主な日本開催の万博は次のとおりです

  • 1970年 大阪万博(日本万国博覧会) – 日本初の万博。「人類の進歩と調和」をテーマに開催。入場者数6422万人。
  • 1975年 沖縄国際海洋博 – 沖縄で開催。海洋をテーマにした世界初の万博で、海洋文化館や水族館など海に関する展示が行われました。
  • 1985年 国際科学技術博(つくば万博) – 茨城県つくば市で開催。「人間・居住・環境と科学技術」がテーマ。最新の科学技術(リニアモーターカーや国際宇宙船など)が展示され、未来の暮らしを体感できる博覧会でした。
  • 1990年 国際花と緑の博覧会(大阪・花博) – 大阪で開催。花と緑、自然環境をテーマにした万博で、「自然と人間との共生」を掲げました。
  • 2005年 日本国際博覧会(愛・地球博) – 愛知県で開催。21世紀初の万博でテーマは「自然の叡智(英知)」です。環境問題や持続可能性に焦点を当て、モリゾー・キッコロというキャラクターも人気になりました。

こうした万博の歴史を振り返ると、その時代ごとに社会が関心を持つテーマが反映されていることがわかります。

19世紀は産業革命の成果や技術の展示、20世紀後半は科学技術や自然との共生など、万博は時代の鏡として機能してきたのです。

万博の目的と意義:技術と文化の祭典から未来への提案へ

もともとの万博は、開催国の権力者が自国の富や技術を誇示する場として始まりました。

しかし現在では、万博は世界の平和と国際協力の象徴となり、地球規模の課題に各国が協力して取り組む場へと変化しています。

つまり、世界中の人々が触れ合い交流する場として大きな意義を持つようになったのです。

万博の基本的な目的は今も昔も「人類の英知を集めて公共の学びの場を提供すること」にあります。

最新の発明や芸術作品を公開し、一般の人々に教育的な経験を提供する――これは万博が国際博覧会条約で定められた使命でもあります。

例えば、電話機が初めて紹介されたのは1876年のフィラデルフィア万博であり、テレビは1939年ニューヨーク万博で大々的に公開されました。

これらは万博によって世に広まり、人々の生活を一変させた技術です。

万博はこのように技術革新の発表の場として社会の進歩に寄与してきました。

また、万博は単なる技術展覧会にとどまらず、文化交流の祭典でもあります。

各国の伝統的な建築様式のパビリオンや民族舞踊・音楽の公演、美食の紹介など、文化面での交流も盛んに行われます。

来場者は異なる文化に直接触れることで相互理解を深め、世界の多様性を学ぶことができます。

特に中学生や若い世代にとって、万博は生きた地理・歴史・科学の教室のようなもので、楽しみながら国際理解を深められる貴重な体験となります。

さらに近年の万博は、未来社会への提案という意義が強まっています。

21世紀に入り、万博のテーマは環境問題や持続可能性、人類の未来像など地球規模の課題解決に焦点を当てるようになりました。

例えば2005年の愛知万博では、急速な科学技術の発展が自然環境に与える影響に着目し、「いのちの持続可能な共生」という課題を人類共通のテーマとして掲げました。

このように現代の万博は、世界が直面する課題に対してみんなで知恵を出し合う場へと進化しているのです。

万博が今も続いている理由とその価値

1851年に始まった万博が150年以上経った今でも世界各地で開催され続けている理由は何でしょうか。

それは万博が時代とともに役割を変えながら、今なおユニークな価値を提供しているからです。

1つ目の理由は、国際的意義の大きさです。万博はオリンピックと並ぶ世界規模のイベントであり、開催国にとって自国の魅力や技術力をアピールする絶好のチャンスです。

多くの国が参加することで外交や国際協力の場ともなり、世界平和と友好関係の促進につながります。

異なる国の人々が一堂に会する万博では、互いの文化や価値観を尊重し合う精神が育まれます。

現代の万博は単なる競争ではなく、共創(コークリエーション)といって各国が協力して未来を創る姿勢が重視されています。

2つ目の理由は、社会貢献や教育効果です。前述のとおり万博は公共の教育の場として位置づけられており、新しい知識を広め人々の意識を高める効果があります。

環境問題や貧困、エネルギーなど地球的課題をテーマに掲げる万博では、来場者が楽しみながらそれらの問題について考えるきっかけが提供されます。

例えば1970年の大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」は当時の科学技術と人間の調和を問いかけましたし、2005年愛知万博のテーマ「自然の叡智」は環境保全の大切さを訴えました。

万博のメッセージ性は社会に長く影響を与え、次世代の教育にも寄与します。

3つ目の理由は、技術革新と経済効果です。

万博会場では毎回のように新しい発明品や未来の乗り物が登場し、人々を驚かせてきました。

現在でも企業や研究機関にとって万博は最新プロジェクトを発表し世界にアピールする場となっています。

万博をきっかけに誕生したエレベーターやテレビ、自動車、ロボットなど数え切れないほどの技術が社会に普及しました。

また万博開催そのものが地元経済を活性化させる効果も見逃せません。会場の建設や観光客の増加によって大きな経済波及効果が生まれ、開催国・開催都市にとって街づくりや産業振興の起爆剤となります。

例えば2025年大阪万博では約2兆円もの経済効果が見込まれているほどです。

このように万博は国際交流、社会啓発、技術と経済の発展という多面的な価値を持っているため、現在も世界各国で開催が続けられているのです。

実際、21世紀に入ってからも2005年日本(愛知)2010年中国(上海)2015年イタリア(ミラノ)2020年ドバイ(UAE)といった具合に約5年ごとに世界のどこかで万博が開かれてきました。そして次が2025年の大阪・関西万博というわけです。

2025年大阪万博のテーマと位置づけ

いよいよ2025年に開催が迫る大阪万博(正式名称:2025年日本国際博覧会)は、20年ぶりに日本で開かれる万博として大きな注目を集めています。

テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」(英語:Designing Future Society for Our Lives)で、万博を通じて人類の未来の生き方や社会のあり方を提案する壮大なテーマ**となっています。

このテーマのもと、「いのちを救う(Saving Lives)」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」という3つのサブテーマが掲げられました。

これらは、医療や健康で命を守り、テクノロジーで生活の質を向上させ、人と人、人と自然をつないで持続可能な社会を作る、といった未来へのビジョンを示しています。

大阪万博2025のコンセプトは「未来社会の実験場(People’s Living Lab)」です。

最新のテクノロジーやサービスを実際に会場で試し、未来の暮らしを実験・体験できる場にしようという狙いがあります。

これはまさに万博の原点である「未来へのショーケース」という役割を現代版にアップデートしたものと言えます。来場者は会場で未来の都市や暮らしの一端を体験し、それが将来当たり前になるかもしれないというワクワク感を味わえるでしょう。

今回の大阪万博が特に重視しているのが、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献です。

SDGsは2030年までに世界が達成すべき17の目標ですが、2025年はその達成期限まで残り5年という節目の年です。

大阪万博は世界中の人々や企業・団体が集まるプラットフォームとなることで、SDGs達成に向けたアイデアや取り組みを加速させる場になることを目指しています。

「誰一人取り残さない」社会を実現するための議論や実践が万博会場で行われ、それが世界に発信されるのです。

さらにSociety5.0の実現も大阪万博の目的の一つです。

Society5.0(ソサエティ5.0)とは日本が提唱する未来社会のコンセプトで、AIやIoT(モノのインターネット)、ロボットなど先端技術を駆使して経済発展と社会課題の解決を両立させる「人間中心の社会」を指します。

大阪万博ではこれを具体化するプロジェクトや展示が期待されており、来場者は未来のスマートシティや最新のAIサービスなどを目にできるでしょう。

難しく聞こえるかもしれませんが、例えば自動運転車介護ロボットAIによる翻訳機など、私たちの生活を便利にするテクノロジーがどのように社会に溶け込むかを楽しく学べる機会となりそうです。

大阪万博2025には、過去最多となる世界158の国と地域(および9つの国際機関)が公式参加を表明しており、まさに地球規模の祭典となります。

これは1970年の大阪万博(参加77か国​)をはるかに上回る数で、日本で開催される万博として史上最大です。

会期は2025年4月13日から10月13日までの6か月間で、約2820万人の来場者が見込まれています。

会場は大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」で、未来的なパビリオン群や大屋根のリング状デッキなど独創的な会場デザインが計画されています。

公式キャラクター「ミャクミャク」も発表され、そのユニークな姿が話題を呼びました(赤い細胞のような不思議な生き物で、生命のつながりを表現しています)。

大阪万博は、日本のみならず世界にとっても未来へのターニングポイントとなるイベントです。

万博の歴史で培われた「世界の知恵を集める力」を活かし、次の時代への道筋を示す場となるでしょう。

中学生の皆さんにとっても、未来の社会や技術に触れ、自分たちが大人になる頃の世界を想像する絶好のチャンスです。

ぜひ万博の歴史や意義を踏まえて会場を訪れ、未来への冒険を体感してみてください。

まとめ:万博を知り、大阪万博をもっと楽しもう

万国博覧会(万博)は、1851年のロンドン万博から始まり、産業革命の成果を世界に示す場としてスタートしました。

その後も世界各地で開催される中で、技術革新の発表文化交流の促進社会課題への提言といった多彩な役割を担い続けています。

万博が長い歴史を経てもなお世界中の人々を惹きつけるのは、時代ごとの「今、伝えたいこと」を大きなスケールで体現してきたからに他なりません。

2025年の大阪万博は、そんな万博の歴史の最新章として、「いのち輝く未来社会」というテーマのもと開催されます。

過去の万博の知恵と成果を引き継ぎつつ、未来に向けてどんなメッセージを発信するのか、大いに期待が高まっています。

万博の歴史や目的を知ると、会場で目にする一つひとつの展示や技術に深い意味や背景があることに気づくでしょう。

ただ楽しいだけでなく、「これは人類の未来のためのチャレンジなんだ」と感じながら見学すれば、大阪万博が何倍も有意義な体験になるはずです。

ぜひ万博の過去から現在までの物語を頭に入れて、大阪万博2025を存分に楽しんでください

世界中の英知が集まるこの機会に、未来へのヒントをたくさん見つけましょう。

そして帰る頃には、きっと「自分も未来の社会をつくる一員なんだ」という前向きな気持ちが芽生えていることでしょう。

万博を通じて学び、感じたことを日常にも活かし、未来への第一歩を踏み出してみてください。

世界が一つの会場にギュッと詰まった万博で、あなたも未来への旅をぜひ楽しんでください

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