ニュースや授業で「経済成長」という言葉を耳にしたことはありませんか?
でも、経済成長って具体的にどういう意味なのか、初心者にはちょっとイメージしづらいですよね。
ニュースでは「GDPが○%成長」など専門用語が飛び交うため、余計に分かりにくく感じることもありますよね。
「経済成長ってどういうこと?」と疑問に思っている中学生や経済初心者の方も多いでしょう。
安心してください。
この記事では、難しく思える経済成長について、初心者にもわかるようにやさしく解説します。
身近な例え話を交えながら、経済成長の基本や大切さを一緒に見ていきましょう。
経済成長とは?かんたんに言うと
経済成長とは、簡単に言えば国の経済が大きくなること(成長すること)です。
もう少し具体的に言うと、国全体で作られるモノやサービスの量(価値)が、時間とともに増えていくことを意味します。
例えば、ある年に国全体で100万円分のものが生み出されたとします。
次の年には110万円分のものが生み出されたとしたら、10万円分増えていますよね。
この場合、その国は約10%の経済成長をしたことになります。
こうした増加の割合(パーセンテージ)を経済成長率といいます。
ニュースなどでは「経済成長率が◯%」というように、この数字で経済の伸び具合が報告されます。
経済の大きさは、よくGDP(国内総生産)という指標で表されます。
GDPとは、その国で1年間に生み出された商品やサービスの合計金額のことです。
前年よりGDPが増えれば、経済規模が大きくなった、つまり経済成長したと言えます。
逆にGDPが減ってしまった場合は、経済が縮んだ(マイナス成長)ということになります。
ただし、数字の上でお金の総額が増えていても、物価が上がっただけで中身の量が変わっていなければ、本当の成長とは言えません。
物の値段の変動(インフレやデフレ)を調整して計算した「実質GDP」の増加分を見ることで、実際の経済成長を正しくとらえます。
ケーキでたとえる経済成長
経済を大きなケーキに例えてみましょう。GDPはケーキの大きさだと考えてください。
経済成長するということは、このケーキが前より大きくなるというイメージです。
ケーキが大きくなれば、みんなが受け取れる取り分(一人ひとりの豊かさ)も大きくなるかもしれませんね。
経済成長という言葉のイメージ、つかめてきたでしょうか?
なぜ経済成長が大事なの?
「経済が成長すると何が良いの?」と思うかもしれません。
実は、経済が成長すると社会や私たちの生活にいろいろな良い影響があります。
経済成長がもたらす明るい例:日本の高度経済成長期
過去の例を見てみましょう。
例えば日本では、1950年代後半から1970年代前半にかけて「高度経済成長期」と呼ばれる時代がありました。
この約20年の間、日本の経済は毎年平均で10%前後という非常に高い成長率で拡大を続けたのです。
その結果、多くの人が豊かさを実感できるようになりました。当時、テレビや自動車といった家電製品が急速に普及し、人々の生活水準は大きく向上したと言われます。
さらに、1964年には東京オリンピックが開催され、世界初の高速鉄道である新幹線も開通しました。これらは高度経済成長を象徴する出来事として語り継がれています。
さらに、近年では中国やインドなど経済が急成長している国々で、多くの人々が貧しい生活から抜け出し、生活水準を向上させています。
経済成長はこのように、人々の暮らしを良くする強力なエンジンなのです。
経済成長でどんないいことがあるの?
高度経済成長期の例のように、経済が成長すると社会にさまざまな良いことがあります。
主なメリットをまとめると次のようになります。
- お給料が増える可能性: 経済が成長して企業の売上や利益が増えると、働く人の給料が上がったり、ボーナスが出たりしやすくなります。景気が良いときには就職もしやすくなり、新しい仕事が生まれることもあります。
- 暮らしが豊かになる: 経済が大きくなると、人々は今まで買えなかった家電や車などを買えるようになったり、新しいサービスを利用できたりします。商品がたくさん作られることで品ぞろえが増え、生活が便利で豊かになります。
- 公共サービスが充実する: 経済成長によって企業の利益や人々の所得が増えると、その分税金も多く集まります。政府は増えた税収で道路を整備したり、学校や病院を建てたり、福祉を充実させたりすることができます。私たちの暮らしの基盤がより良くなります。
- 新しい技術や産業が生まれる: 経済が活発だと、企業はどんどん新しいことに挑戦できます。その結果、今までになかった技術や産業が生まれやすくなります。例えば、経済成長の過程でコンピューター産業やインターネット産業が発展し、私たちは便利なスマートフォンやネットサービスを手に入れましたよね。
逆に、経済が成長しない、もしくは経済規模が縮んでしまうとどうなるでしょうか。
そうした状態は不況(景気が悪い状態)と呼ばれます(逆に経済が好調なときは好景気といいます)。
そのような状況では、仕事が減ったり給料が下がったりする原因になります。例えば日本でも1990年代以降、経済成長が鈍り「失われた20年」と呼ばれる長い停滞の時期がありました。
この間は物価が下がるデフレが続き、企業の活力が低下して仕事が減るなど、人々の生活にも影響が出たのです。
こうしたことから、経済成長は私たちの豊かな生活を支える大切なエンジンだと言えるでしょう。
経済成長はどうやって起こるの?
それでは、経済はどうすれば成長するのでしょうか。
国の経済が成長する背景には、いくつかの要因があります。主なポイントを見てみましょう。
人手が増える(労働力の増加)
経済成長の一つの要因は、働く人の数が増えることです。
働く人(労働力)が増えれば、その分生産できるモノやサービスの量も増えます。
例えば、新しい工場ができて雇われる人が増えれば、生産が拡大しますよね。
戦後の日本では人口が増え(ベビーブーム)若い労働力が豊富だったことが、高度成長を支えた要因の一つでした。逆に人口が減ると、経済のサイズが縮小しかねません。
実際、近年の日本では少子高齢化による人口減少が経済成長を鈍くする要因の一つだと言われています。
資本が増える(設備投資の増加)
もう一つの要因は、工場や機械などの設備が増えることです。
企業が新しい機械を買ったり工場を建てたりする(これを設備投資といいます)と、生産能力が上がります。
同じ時間で作れるモノの量が増えるので、経済全体の生産が拡大します。
例えば、農家が最新式のトラクターを導入すれば、それまでより早くたくさん耕すことができ、収穫量が増えるでしょう。
それと同じように、新しい設備への投資は経済成長につながります。
また、道路や港などのインフラ(社会基盤)を整えることも経済成長に役立ちます。
交通網が発達すれば物資の運搬がスムーズになり、企業の活動が活発になるからです。
技術が進歩する(生産性の向上)
さらに、技術の進歩やアイデアの革新も経済成長の大きな原動力です。
新しい技術が開発されると、これまで1人で1時間に1個しか作れなかったものが、2個作れるようになるといった具合に生産性が向上します。
なお、新しい技術だけでなく、人々の教育やスキルが向上することも生産性アップにつながります。
多くの人が高度な教育を受ければ、その分新しいアイデアが生まれたり効率よく働けたりします。
例えば、インターネットやスマートフォンの技術革新によって、新しいサービス産業が生まれたり仕事の効率が上がったりしましたよね。
このように、技術や知識の発展によって、より少ない労力で多くのものを生産できるようになれば、経済は成長します。
ちなみに、最近では人工知能(AI)やロボットなどの技術革新が、新たな経済成長のカギになると期待されています。
※ 他にも、豊富な天然資源が見つかったり、海外との貿易が盛んになったりすることも経済成長のきっかけになります。しかし現代では、人手・資本・技術の3つが特に重要なポイントとされています。このように、経済成長には人手・資本・技術といった様々な原動力があります。では最後に、ここまでの内容をまとめてみましょう。
まとめ:経済成長をやさしくおさらい
経済成長とは「国の経済のケーキが大きくなること」と言えます。
国全体で生み出されるお金の流れやモノの量が増えることを指し、その度合いはGDPの増加率で測られます。
経済が成長すると、私たちの生活も豊かになりやすく、給料アップや新しいサービスの登場、公共サービスの充実など嬉しい効果が期待できます。
そして、経済が成長するためには人々の活躍や技術革新、設備投資など様々な原動力が必要です。
ただし、経済成長すればそれで全てOKというわけではありません。
経済の規模が大きくなっても、その豊かさが一部の人にしか行き渡らなかったり、環境が汚染されてしまったりすると、私たちの幸せにはつながりません。
みんながより良い未来を築くためには、経済成長と同時に、環境への配慮や富の公正な分配も大切です。
このバランスの重要性は、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)でも強調されています。
経済と環境のバランスをとりながら成長していくことが、これからの課題ですね。
初心者向けの経済成長に関する解説は以上です。
難しく感じた経済の話も、身近な例に置き換えてみると意外とイメージしやすくなりますよね。
ぜひニュースで経済の話題が出たとき、「ああ、国のケーキが大きくなったんだな」と思い出してみてください。
経済成長の仕組みを知ることで、世の中の動きが今までよりちょっと面白く感じられるかもしれません。
身近な経済の仕組みを少しずつ学んでいけば、きっと将来のさまざまな場面で役に立つはずです。これからも一緒に経済について楽しく学んでいきましょう!

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