仮想通貨の世界では、「どんな評価も正当化される」と言われることがあります。
例えば、2018年から2019年にかけて「ビットコインが10万ドルに達する」という予測がありましたが、当時の経済学者たちはこれを笑い飛ばしていました。
しかし、2025年の今、同じような強気の予測がXRP（エックスアールピー）にも向けられています。
特にトランプ大統領が再選した後、XRPの価格は過去最高値の3.41ドルに迫る勢いを見せました。
しかし、XRPは米国の金融規制機関であるSEC（証券取引委員会）と4年間にわたる法廷闘争を続けており、この問題はまだ解決していません。
それにもかかわらず、「XRPは100ドルになる」「1,000ドルに達する」といった大胆な予測がソーシャルメディア上で増えています。
そして、ある調査レポートではさらに驚くべき数値として、「XRPは1万8,000ドルになる」という試算まで発表されました。
XRPが1万8000ドルに達すると言われる理由
2023年6月、アメリカの裁判所が「XRPは証券ではない」と判断する1か月前に、ヴァルヒル・キャピタルという投資会社がXRPの価値を分析したホワイトペーパーを発表しました。
このレポートでは、5つの異なる価格評価モデルが提示されました。
その中で「XRP評価モデル #4」が最も理想的なシナリオとされ、
- 世界の年間取引総額：104兆ドル
- 経済成長率（2023年～2032年）：2%
- 適用割引率（未来の価値を現在の価値に換算する計算）：10%
- 総取引の現在価値：915兆ドル
- XRPの流通供給量：507億XRP
これらのデータを元に、XRPの理論上の価格は 1万8,036ドル になると計算されました。
つまり、この予測が実現するには、XRPが世界の金融インフラの中心となり、現在の国際送金システム（SWIFTなど）を完全に置き換えることが前提になります。
ホワイトペーパーとは？
ホワイトペーパー（White Paper）とは、特定の技術やプロジェクトについて詳しく説明する公式文書のことです。
もともとは政府や企業が政策や技術の詳細を発表するために使っていた言葉ですが、仮想通貨（暗号資産）の世界では、新しいコインやブロックチェーン技術の仕組みを説明する資料を指します。
例えば、ビットコインのホワイトペーパーは2008年にサトシ・ナカモトによって発表され、ビットコインの仕組み（ブロックチェーンを使った取引の仕組み）が詳しく説明されています。
今回のXRPに関するホワイトペーパーは、XRPの価格を評価するためにヴァルヒル・キャピタルが作成したもので、「XRPが1万8000ドルになる可能性がある」という予測の根拠を示したレポートです。
つまり、ホワイトペーパーは「この技術やプロジェクトはこういう仕組みで、こういう未来を目指している」と説明するための公式文書ということです。
XRPは本当に国際送金の中心になるのか？
しかし、2025年2月28日時点で、 XRPがアメリカの銀行で正式に国際送金に採用されたという公式発表はありません。
リップル社の決済ネットワークである リップルネット は、大手銀行であるJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカ（BofA）、シティグループと関連があると噂されていますが、 正式に確認されているパートナーはPNC銀行とバンク・オブ・アメリカのみ です。
特にバンク・オブ・アメリカについては、サウンド・プランニング・グループのCEOであるデイビッド・ストリゼウスキー氏が「バンク・オブ・アメリカは2年間、すべての内部取引にXRPを使用している」と発言し、話題になりました。
サウンド・プランニング・グループ（SPG）・バンク・オブ・アメリカ
サウンド・プランニング・グループ（SPG）は、アメリカ・ワシントン州にある会社で、人々の「引退後の生活（リタイアメント）」を計画するサポートをしている会社です。
簡単に言うと、「老後のお金の管理」や「どんな投資をすれば安心できるか」などのアドバイスをする専門家のチームです。
バンク・オブ・アメリカは、アメリカで2番目に大きな銀行で、顧客数は約6,800万人、1日の取引件数は約120万～150万件にのぼります。
しかし、XRPの取引記録を分析すると この規模の取引が行われた形跡はありません。
また、2024年8月には ウェルズ・ファーゴがXRPをクレジットカードやローンの決済に使う という噂が広まりましたが、ウェルズ・ファーゴの従業員であるヴィットリオ・ディベネデット氏が2025年1月に「事実ではない」と否定しました。
ウェルズ・ファーゴ
ウェルズ・ファーゴは、アメリカで4番目に大きな銀行であり、商業・個人向けの金融サービスを提供しています。
総資産は約1.9兆ドルとされ、アメリカ経済にとって重要な銀行の1つです。
XRPへの期待はなぜ高まるのか？
では、なぜXRPの価格が大きく上がると期待する人がいるのでしょうか？
理由のひとつは、 XRPの上場投資信託（ETF） です。
ETFとは 「株のように売買できる投資信託」 のことで、これが承認されると、機関投資家（大手金融機関など）がXRPを買いやすくなります。
2025年2月時点で、複数の資産運用会社がXRPのETFを申請しています。
また、仮想通貨市場は 感情で大きく動く 特徴があります。SNS上で「XRPは1万8000ドルになる」という予測が広まれば、多くの人が「本当にそうなるかもしれない」と思い、投資を始めることがあります。
しかし、現実的に考えると、 XRPが世界の決済システムを完全に置き換えるには、まだ大きな壁があります。
現在、大手銀行の多くは 自社の決済システムをすでに持っている ため、新しい技術に全面的に移行するには時間がかかります。
さらに、 規制の問題 もあり、政府や金融当局がどのように対応するかも不透明です。
まとめ：XRPは本当に1万8000ドルに達するのか？
XRPが1万8000ドルに達するためには、
- 世界の銀行がXRPを決済手段として採用する
- 現在の送金システム（SWIFTなど）を完全に置き換える
- 規制のハードルをクリアする
という条件が必要になります。
現時点では、 これらの条件が整う兆しは見られません。 しかし、XRPがETFとして承認されるなど、新たな展開があれば、価格が大きく上がる可能性もあります。
XRPの未来は不透明ですが、期待と現実のバランスを考えながら、市場の動向を注視することが重要です。
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