暗号資産市場の現状と2025年への期待―ビットバンクの調査結果から

暗号資産(仮想通貨)は、近年多くの人々の関心を集めています。

その市場は常に動き続け、時には大きな価格変動が起こることもあります。

今回は、暗号資産取引所ビットバンクが行ったアンケート調査の結果をご紹介します。

この調査は、一般のインターネットユーザー1375人を対象に行われ、2025年の市場への期待や課題が浮き彫りとなりました。

この記事では、調査結果をわかりやすくまとめ、初心者に理解できるように解説します。

価格上昇への期待

ビットバンクの調査によると、多くの人が2025年の暗号資産市場で最も期待しているのは「価格の上昇」でした。

実際、37.2%の回答者がこれを挙げています。暗号資産に投資している人々にとって、価格が上がることは利益を得るチャンスになるからです。

2023年初頭、ビットコインの価格は約600万円でした。

しかし、今日(2024年12月)時点でその価格は約1500万円となり、約2.5倍に増加しています。

有識者の中には、2025年までにビットコインの価格が最大で2230万円–2900万円(現在の約1.5倍から2倍)に達する可能性があると予想する人もいます。

この価格上昇の背景にはいくつかの理由があります。

まず、世界的なインフレ(物価の全体的な上昇)や通貨価値の低下が、ビットコインなどの暗号資産を「デジタルゴールド」として注目させていることです。

ゴールド(金)と同じように、ビットコインも希少価値があり、インフレに対する防御策として人気があります。

さらに、アメリカの中央銀行である連邦準備制度(FRB)が行う金融政策も重要な影響を与えています。

FRBはインフレを抑えるために金利を調整したり、市場に出回るお金の量を管理します。

この政策によって、ドルの価値が変動し、ドル資産への信頼が揺らぐことがあります。

こうした状況では、暗号資産のような分散型でドルとは異なる資産に注目が集まるのです。

また、大手金融機関や企業が暗号資産市場への参入を進めていることも重要な要因です。

たとえば、アメリカの有名な金融会社がビットコインを資産として取り入れる動きを見せており、これが市場全体の信頼性を高めています。

税制の課題


しかし、暗号資産にはまだ課題もあります。特に多くの人が問題だと感じているのは「税制に関わるルールが整っていないこと」です。

実際、24.1%の人がこれを挙げました。また、「税制の改正を期待している」という声も16.7%ありました。

現在、日本の税制では、暗号資産で得た利益は「雑所得」として扱われます。

これにより、所得税の税率が最大で55%にもなることがあります。

たとえば、暗号資産で100万円の利益を得た場合、その半分以上が税金として支払われることがあるのです。

これが投資家にとって大きな負担となり、暗号資産取引を控える理由の一つになっています。

この問題を解決するためには、税制を見直すことが必要です。

有識者の間では、暗号資産の利益を「分離課税」にするべきだという意見があります。

分離課税とは、暗号資産の利益を他の所得とは分けて、固定の低い税率(たとえば20%)で課税する仕組みのことです。

これにより、投資家の負担が軽減され、より多くの人が暗号資産市場に参加しやすくなると考えられます。

さらに、税制が明確化されることで、投資家が取引の際にどれだけの税金を支払う必要があるかを事前に理解しやすくなります。

これが市場全体の透明性を高め、信頼を築くことにもつながるでしょう。

セキュリティの不安

暗号資産市場におけるセキュリティは、投資家にとって非常に重要なポイントです。

ビットバンクの調査では、「個人のウォレット(暗号資産を保管するためのデジタル財布)におけるセキュリティ課題」を挙げた人が20.4%、「取引所における情報セキュリティ課題」を挙げた人が19.7%にのぼりました。

これらの結果から、セキュリティ問題が投資家の信頼に与える影響の大きさがわかります。

特に、2024年5月に発生したDMMビットコインでの巨額資産流出事件は、セキュリティの重要性を再認識させる出来事となりました。

この事件では、ハッカーがシステムの脆弱性を突いて大量の暗号資産を不正に流出させる被害が発生しました。

事件発生後、DMMビットコインは迅速に対応し、被害を受けた投資家に対して全額補償を行いました。

この対応により、一定の評価を得たものの、セキュリティ強化や運営コストの増大が事業に大きな負担をかけたとされています。

その後、DMMビットコインは経営の継続が困難であると判断し、同年10月に廃業を発表しました。

このような事件が市場に与える影響は大きく、暗号資産全体への信頼を損なう要因となり得ます。

取引所がセキュリティ対策を強化し、不正アクセスを防ぐための最新技術を導入することが急務です。

また、個人レベルでも、安全なウォレットの利用や二段階認証などの基本的な対策を講じることが推奨されます。

まとめ

この調査結果から、暗号資産市場には明るい期待とともに、まだ解決すべき課題があることが分かりました。

2025年も暗号資産市場は変動が予想され、特にアメリカのトランプ氏が再び大統領に就任した後、その政策が市場に大きな影響を与える可能性があります。

また、ロシアのプーチン大統領の国際情勢における動きや、中国の暗号資産規制や技術開発の進展など、各国の政策が市場に与える影響を注視する必要があります。

これらの要素を踏まえながら、価格の上昇や税制の改善、セキュリティ対策といった課題に取り組み、情報を得ながら未来の市場に備えることが大切です。

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