UAEが目指す未来の仮想通貨特区とは？新しいアイデアを生み出す秘密に迫る

参照元：コインテレグラフジャパン

アラブ首長国連邦（UAE）は、仮想通貨やブロックチェーンといったデジタル資産の分野で急速に注目を集めています。

特に、UAEの一つの地域である「ラスアルハイマ・デジタル資産オアシス（RAK DAO）」が、仮想通貨に関する新しい取り組みを進めています。

この「デジタル資産オアシス」とは、仮想通貨やNFT（ノン・ファンジブル・トークン）などの技術に関連するビジネスが成長できる場所、つまり特別に設けられたエリアです。

RAK DAOの幹部にインタビューしたところ、彼らは「規制」と「イノベーション」のバランスが重要だと考えています。

「規制」とは、ルールや法律のことです。これにより、仮想通貨の世界でも安心してビジネスを始められるように整備されています。

一方で、「イノベーション」とは、新しいアイデアや技術を生み出すことです。

このように、安全なルールのもとで自由に新しいことに挑戦できる環境を作ることが、UAEの目指す仮想通貨特区の戦略の一つなのです。

NFT（ノン・ファンジブル・トークン）

デジタルアイテムの一種で、世界に一つしかない特別なものを証明するための技術です。

例えば、デジタルで描かれた絵や音楽、ゲームのアイテムなど、インターネット上にあるデータを「このアイテムは世界に1つだけで、持っている人が本物の持ち主だ」と証明できる仕組みです。

普通のデジタルデータは、コピーやダウンロードして何人でも持つことができますが、NFTは「唯一のもの」としてブロックチェーンという技術で守られています。

だから、NFTを持っている人はそのデジタルアイテムのオリジナルを持っていることを証明できるんです。

例えるなら、NFTはデジタルの世界で、1つしかないサイン入りのスポーツカードや、特別なアート作品を持っているようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。

ラスアルハイマ・デジタル資産オアシス（RAK DAO）

アラブ首長国連邦（UAE）のラスアルハイマという地域に作られた特別なエリアです。

この場所では、仮想通貨やNFTのようなデジタル資産を使ったビジネスをサポートするための特区（特別にルールが緩やかで、ビジネスがしやすい場所）が作られています。

RAK DAOは、仮想通貨やブロックチェーン技術を使って、新しいビジネスを始める人たちが安心して活動できるように、特別なルールを整えている場所です。

ここでは、新しいアイデアや技術を生み出すことが奨励（しょうれい）され、最新のデジタル技術を使ったビジネスが成長できるようになっています。

簡単に言うと、RAK DAOは、未来の技術を使ったビジネスがもっと発展できるための「実験場」や「育成の場」のような場所です。

日本では仮想通貨やデジタル資産の特区ができるのか？

日本でも仮想通貨やデジタル資産に関する取り組みは進んでいますが、UAEのような「特区」がすぐにできるかどうかは現時点では不透明です。

日本は、仮想通貨に対して非常に慎重な姿勢を取っており、消費者保護や不正取引を防ぐために、厳しい規制が設けられています。

例えば、仮想通貨取引所には厳格な登録制度やセキュリティ基準が要求され、投資家保護が優先されています。

このような規制の厳しさから、特区のように規制を緩和して自由にビジネスを展開する環境を作ることは、現在の日本の政策方針とは異なっています。

しかし、デジタル技術の発展に伴い、日本でも将来的に特区が設けられる可能性はゼロではありません。

すでに一部の地域では、デジタル技術やブロックチェーンに関連する新しい取り組みが行われており、これが仮想通貨やNFTを扱うビジネスに発展する可能性もあります。

たとえば、福岡市や沖縄県など、地方自治体が中心となってスタートアップ企業や技術革新を支援するプロジェクトが進んでいます。

これらが特区として発展し、デジタル資産分野に特化したビジネス環境を整備する可能性も考えられます。

ただし、日本は消費者保護を重要視する文化があるため、UAEのように大胆な規制緩和がすぐに行われるとは限りません。

特区の設立には、しっかりとした議論と準備が必要であり、慎重に進められるでしょう。

仮想通貨の成長を支援するUAEの取り組みと世界の現状

UAE（アラブ首長国連邦）で開催された「フューチャーブロックチェーンサミット」で、RAK DAO（ラスアルハイマ・デジタル資産オアシス）の最高商務責任者であるルク・フレーリッヒ氏が、UAEの自由経済区における仮想通貨の規制について語りました。

フレーリッヒ氏は、単にビジネスにライセンス（許可）を与えるだけでなく、実際にビジネスを成長させるための支援を行い、成功するためのパートナーを見つける方法を模索していると話しました。

さらに、RAK DAOは仮想通貨業界のさまざまな企業や専門家が集まる「収束点」を築くことを目指しています。

「収束点」というのは、異なる分野や背景を持った人たちが集まり、新しいアイデアを生み出す場所のことです。

このような場があることで、革新的なプロジェクトが生まれるチャンスが増えます。

フューチャーブロックチェーンサミット（Future Blockchain Summit）

ブロックチェーン技術や仮想通貨（暗号資産）の最新情報や革新的なアイデアを世界中の専門家や企業が集まって共有する大規模な国際会議です。

このサミットは、毎年アラブ首長国連邦（UAE）のドバイで開催され、ブロックチェーンや仮想通貨業界の最前線で活躍するリーダーたちが集まり、今後の技術やビジネスの発展について話し合います。

このサミットでは、新しい技術やトレンド、ビジネスチャンスが紹介されるだけでなく、仮想通貨の規制や法整備、ブロックチェーン技術の応用例についても議論されます。

また、世界中の政府関係者、投資家、企業家が一堂に会し、最新の動向を把握しながら、今後の成長に向けたパートナーシップを築くことができる場でもあります。

初心者にとっては、仮想通貨やブロックチェーン技術の基本から、どのように実際のビジネスや日常生活で利用されているかを学ぶ良い機会となるイベントです。

世界の規制と仮想通貨人材の流出

フレーリッヒ氏はまた、仮想通貨業界の国際的な状況についてもコメントしました。

例えば、香港や中国では才能ある人々がたくさんいますが、ブロックチェーンや仮想通貨の仕事をする上で規制が厳しく、自由に活動できるわけではないと指摘しました。

ヨーロッパでも仮想通貨関連のプロジェクトを進めるのは難しい状況が続いていると付け加えています。

特に米国では、「執行による規制」という方法が使われています。

これは、しっかりとしたルールが決まっていない中で、罰則を通じて規制を行うやり方です。

このため、多くの優秀な人材が米国から離れ、他の国に移ってしまう「才能の流出」が起きています。

フレーリッヒ氏は、このような曖昧な規制ではなく、明確なルールを設けることが重要だと強調しました。

UAEが仮想通貨人材を引きつけるチャンス

世界各地で仮想通貨に関する問題が続く中、UAEは仮想通貨業界の人材やプロジェクトを引きつける絶好のチャンスだとフレーリッヒ氏は考えています。

明確な規制の下で、安心してビジネスを始められる環境が整っているUAEは、仮想通貨やブロックチェーンに興味を持つ世界中の才能を集めるために、積極的な取り組みを行っています。

このように、UAEは仮想通貨の成長を支援するために、世界中の人々が安心して集まれる場を提供しようとしています。

トークン化とゲームへの注目

UAEの仮想通貨業界におけるトレンドについて尋ねられたフレーリッヒ氏は、現在特に注目されているのが「実世界資産（RWA）のトークン化」と「ゲーム」だと話しました。

「トークン化」とは、物理的な資産（例えば、不動産や美術品など）をデジタル化して、ブロックチェーン上で取引できるようにする技術のことです。

トークンは、ブロックチェーンという技術を使って管理されます。この「トークン」を使うことで、物や資産を安全かつ簡単にインターネット上で取引できるようになります。

たとえば、あるビルや車などの物をトークン化すると、そのビルや車の所有権を細かく分けてデジタル化できるようになります。

そうすると、ビルのほんの一部を持っているという証明をトークンで持つことができるのです。

この方法なら、大きな資産を少しずついろいろな人が持つことができるようになり、誰でも手軽に資産に投資することができるというメリットがあります。

つまり、トークン化は「実際に存在する物をデジタル化して、多くの人がインターネット上で簡単に所有したり取引できるようにする技術」と言えるでしょう。

フレーリッヒ氏は、信頼できるトークン化プロジェクトが進行中で、それがラスアルハイマやUAE全体の経済発展に貢献する可能性があると述べました。

ゲームリゾートの開発とブロックチェーンの可能性

さらに、フレーリッヒ氏は、2027年にラスアルハイマで開業予定のゲームリゾートに関連して、新しいプロジェクトが増えると期待しています。

このリゾートは、世界的に有名なカジノ運営会社「ウィン」が手掛けており、ラスアルハイマの経済成長に大きな影響を与えると見込まれています。

彼は、このリゾートを中心に、ゲームに関するさまざまなブロックチェーンベースのプロジェクトや副産物が登場し、多くの関心を集めていると説明しました。

このように、仮想通貨とブロックチェーン技術は、ゲームやトークン化といった分野で大きな可能性を秘めており、UAEはその中心地としての役割を果たそうとしています。

ラスアルハイマ・デジタル資産オアシス（RAK DAO）の未来

これからRAK DAOがどんな風に発展していくのか、４つに分けて簡単に説明します。

世界中の新しい技術の中心に

RAK DAOは、仮想通貨を使ったビジネスだけでなく、新しい技術やアイデアが生まれる場所を目指しています。

たくさんの専門家や企業が一緒に集まり、協力して新しいプロジェクトを作り出せる「収束点」と呼ばれる場所を提供しています。

これにより、世界中から優秀な人が集まり、RAK DAOは仮想通貨のリーダーになろうとしています。
実際の物をデジタル化する「トークン化」

RAK DAOでは、現実にある資産（例えば建物や車）をデジタルに変える「トークン化」という技術を進めています。

これにより、みんなが少しずつその資産に投資できるようになります。

たとえば、ビルの一部をデジタルで買うことができるようになるんです。

この仕組みが進むと、もっと多くの人が大きな資産に参加できるようになります。
ゲームやエンターテインメントの発展

RAK DAOは、ゲームやエンターテインメントとも関わっています。

2027年にラスアルハイマで大きなゲームリゾートができる予定で、それをきっかけにブロックチェーンを使った新しいゲームやプロジェクトが増えると期待されています。

これによって、仮想通貨がゲームの世界でももっと使われるようになるかもしれません。
安心してビジネスができる環境作り

仮想通貨の世界では、しっかりとしたルールがあることがとても大事です。

RAK DAOは、ビジネスが安心して成長できるように、ルールをきちんと整えています。

これによって、世界中から企業や投資家が集まりやすくなり、仮想通貨の分野で重要な役割を果たすことができるでしょう。