トランプ大統領が公約を次々と実施しています。暗号資産業界として特に注目したいのは、「米国を暗号資産の中心にする」という取り組みがどこまで実現されるかです。
現時点では、1月23日に「デジタル金融テクノロジーにおける米国のリーダーシップの強化」と題した新たな大統領令に署名し、米国のデジタル資産業界の成長を支援する方針を示しました。
これに続いて期待されるのが、ビットコインの国家準備資産としての採用です。
ビットコインは戦略的準備資産になり得るのか?
最近、世界のいくつかの国がビットコインを「準備資産」として持とうとする動きを見せています。
準備資産とは、国が経済の安定や金融危機に備えて保有する資産のことで、金や米ドルなどが一般的ですが、そこにビットコインを加えようという考えが広がっています。
しかし、ビットコインは本来そのような使われ方を想定していたのでしょうか?
ビットコインの生みの親は国家の保有を想定していたのか?
ビットコインを作ったサトシ・ナカモトが、「国が準備資産としてビットコインを持つこと」を想定していたかどうかは、実はよく分かっていません。
それでも、「ビットコインが価値を持つなら、国家や大手企業が持つのは当然の流れだ」と考える人もいます。
例えば、暗号資産関連の企業Jan3のCEOであるサムソン・モウ氏は、国家によるビットコイン採用を積極的に推進しており、「最終的にビットコインは国家レベルで採用されるのは避けられない」とまで言っています。
Jan3とは?
Jan3は、ビットコインの普及を後押しする企業で、特に国家がビットコインを採用することをサポートしています。
モウ氏自身、エルサルバドル政府のビットコイン導入にも関わっており、政府レベルでの採用を推進する立場にあります。
そもそもビットコインは何のために作られた?
ビットコインはもともと「銀行などの仲介なしで、直接お金をやり取りできる仕組みを作ること」を目的として生まれました。
たとえば、友人にお金を送るとき、普通は銀行や電子決済サービスを使いますよね。
でも、ビットコインなら、直接相手のウォレットに送ることができ、手数料も抑えられます。
この仕組みが「純粋なP2P型電子現金システム」と呼ばれています。
しかし、2009年に最初の取引が行われてから、ビットコインは「デジタルゴールド」としての側面が強まり、「お金の代わり」ではなく「価値を保管するための資産」としての認識が広がってきました。
国家がビットコインを持つことで問題はないの?
一部の専門家は「国がビットコインを保有することにはリスクがある」と警戒しています。
例えば、暗号資産取引所ビットメックスの共同創設者アーサー・ヘイズ氏は、「政府が大量にビットコインを持つと、それを政治的な道具として使う可能性がある」と指摘しています。
また、「国が大量にビットコインを買い占めると、一般の人がビットコインを手に入れにくくなるのでは?」という懸念もあります。
でも、サムソン・モウ氏は「政府がビットコインを持ったところで、その仕組み自体をコントロールできるわけではない」として、「むしろ、政府がビットコインの価値を理解するきっかけになる」と前向きに考えています。
ビットコインはインフレを引き起こす?
「国がビットコインを大量に買ったら、インフレにつながるのでは?」という意見もあります。
特に、テザー(USDT)などのステーブルコインとの関係が指摘されています。
ただ、モウ氏は「ビットコインを国家が持つことで、その国の経済が直接的に変わるとは考えにくい」とし、「むしろ、法定通貨の時代が終わりに近づいていて、ビットコインが最終的にすべての価値を吸収する未来が来る」と話しています。
ビットコインは新しい金融システムの一部になる?
ビットコインが「価値を保管するための資産」として定着するにつれ、国や企業が戦略的な準備資産としてビットコインを保有する動きは強まっています。
ただし、「国家がビットコインを持つ=中央集権化」ではなく、「より信頼性の高い資産として認識されること」だと考える専門家もいます。
例えば、ハードウェアウォレットを提供するトレザーのアナリスト、ルシアン・ボードン氏は、「ビットコインは個人、企業、国家のどこにとっても価値のある資産であり続けるべきだが、同時に、どの単独の主体にもコントロールされないことが重要だ」と指摘しています。
まとめ
ビットコインは、もともと「個人間で自由に使える電子現金」として誕生しましたが、今では「デジタルゴールド」としての価値が高まり、国家が保有することにも注目が集まっています。
国家がビットコインを準備資産として持つことには賛否がありますが、金融の流れとしては自然なことかもしれません。
特に米国において、今後の政策がどのように展開されるのか、ビットコインが正式に国家準備資産として認められるのか、これからの動きに注目です。

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