ブロックチェーンの基本⑥ブロックチェーンの活用事例 – 身近な業界での応用を見てみよう

目次

はじめに
 ー身近な業界でのブロックチェーン活用事例

⚫️金融業界
⚫️サプライチェーン管理
⚫️不動産業界
⚫️エネルギー分野
⚫️著作権管理
⚫️医療業界
⚫️投票・選挙

まとめ

はじめに

これまでの回は、ブロックチェーンの基本情報、仕組み、暗号技術、スマートコントラクトなどについて解説してきました。

今回は、身近な業界でのブロックチェーン活用事例を紹介し、ブロックチェーン技術がどのように実用化されているかを見てみましょう。

主なブロックチェーン活用事例

金融業界

ブロックチェーン技術は、デジタル通貨からスマートコントラクトまで、私たちの生活のさまざまな側面を変革しています。

特に、金融業界でのその活用が注目を集めています。ここでは、ブロックチェーンが金融業界でどのように利用されているかを、具体的かつ分かりやすい事例を用いて説明します。

クロスボーダー送金:メールと郵便の違い

国際的な送金を行う際の現在の銀行システムは、郵便で手紙を送ることに似ています。

手紙(お金)があなたの銀行から出発し、複数の中継地点を経由して最終的に受取人の銀行に到達します。このプロセスは時間がかかり、手数料も高いです。

しかし、ブロックチェーンを用いた送金は、メールを送るのに似ています。

メールはほぼ即座に送られ、受取人もそれをすぐに確認できます。
同様に、ブロックチェーンを用いた送金もほぼ即座に行われ、手数料も大幅に低くなります。

スマートコントラクト:自動販売機のような仕組み

次に考えてみるべき例は、スマートコントラクトというブロックチェーンの応用です。

スマートコントラクトを理解する一つの良い方法は、自動販売機を想像することです。自動販売機で商品を購入するとき、お金を入れて商品を選びます。

その後、自動販売機はあなたの選択に基づいて商品を提供します。この全てのプロセスは自動化されています。

スマートコントラクトも同様の原理で動作します。

条件が満たされると(例えば、ある商品の支払いをする)、スマートコントラクトは自動的にその結果を実行します(例えば、その商品を提供する)。

これは、中間者(例えば、販売員)が不要な取引を可能にします。

サプライチェーン管理

ブロックチェーン技術の用途は金融業界だけに留まりません。

この先進技術はサプライチェーン管理の分野でも活用され、その効率と透明性を向上させる大きな可能性を秘めています。

本記事では、ブロックチェーンがサプライチェーン管理でどのように利用されているかを具体的な事例を通じて解説します。

サプライチェーンは、製品が消費者の手に届くまでの全ての過程を含むものです。
この過程には、原材料の採取、製品の製造、そして製品の消費者への配送が含まれます。

商品の追跡:レストランでのシーフードの起源

あるレストランで美味しいシーフードを注文したとしましょう。

そのシーフードがどこから来たのか、どのように取引されてきたのかを知りたいと思ったことはありませんか?

ブロックチェーンはその問いに答えることができます。
各取引先はブロックチェーンに情報を記録します。

漁師は捕獲した場所と時間、卸売業者は購入と販売の情報、そしてレストランは最終的な提供情報を記録します。

これにより、レストランのお客様はスマートフォンのアプリを使って、注文したシーフードがどのような経路を経て自分のテーブルに到達したかを追跡することができます。

認証と検証:高級ブランド商品の真正性の保証

高級ブランド商品は、その真正性を証明するためにしばしば困難に直面します。

偽造品が出回ることで、ブランドの評価が下がり、消費者の信頼も損なわれる可能性があります。

ブロックチェーンはここで重要な役割を果たします。
製造元が商品を作るとき、その情報をブロックチェーンに記録します。

販売店がその商品を売るとき、また記録します。そして、消費者がその商品を購入するとき、それらの情報を確認することができます。

これにより、消費者は購入する商品の真正性を確認でき、ブランドもその信頼性を保つことができます。


これらの例は、ブロックチェーンがサプライチェーン管理でどのように活用されているかを示しています。

ブロックチェーンは透明性を提供し、効率性を向上させ、そして消費者の信頼を深めることができます。

この先進技術の更なる発展に期待しつつ、その可能性を最大限に活用する方法を探り続けていきましょう。

不動産業界


ブロックチェーンの利用は不動産業界にも拡大しています。

ブロックチェーンは、その透明性と安全性により、不動産取引を大きく進化させる可能性を秘めています。

ブロックチェーンが不動産業界でどのように活用されているかを、具体的な事例を用いて説明します。

不動産取引:自動車の所有権の移転と同じように

不動産の売買は、複雑で時間がかかるプロセスとなりがちです。
これは、車の所有権を別の人に移すことと似ています。

まず、あなたが車を売るとき、その車があなたのものであることを証明しなければなりません。次に、あなたがその車を買う人に、その車があなたのものであることを証明する書類を提供します。

最後に、その書類は新しい所有者の名前に変更され、公的な記録に更新されます。

ブロックチェーンを用いた不動産取引も、このプロセスに非常に似ています。


ブロックチェーンには、不動産の所有権の全ての移転記録が保存され、それぞれの記録は変更不可能です。

したがって、所有者はその不動産が彼のものであることを確実に証明することができます。
これにより、不動産取引のプロセスはより迅速かつ効率的になります。

トークン化された不動産:ピース・オブ・ケーキのように

大きなケーキをみんなで分けることを想像してみてください。

それぞれの人が一片のケーキを持っていると、全員がそのケーキの一部を所有することになります。これは、不動産のトークン化と呼ばれるものに似ています。

不動産のトークン化とは、不動産をデジタルトークンに変換し、それを多くの人々と共有することです。

このプロセスにより、人々は高価な不動産を一人で所有する代わりに、その一部を所有することができます。

そして、ブロックチェーンはそのトークンの所有権を追跡し、それがどのように売買されているかを記録します。

これらの例から、ブロックチェーンが不動産業界でどのように利用されているかを理解することができます。

ブロックチェーンは、取引の透明性を確保し、効率性を向上させ、より多くの人々が不動産市場に参加する機会を提供することができます。

デジタルトークン

デジタルトークンを理解するための一つの簡単な比喩は、電子クーポンです。

例えば、あるレストランが特定のサービス(例えば、1食分の無料ディナー)に対応する電子クーポンを発行するとします。

この電子クーポンは、特定の価値(無料ディナー)を持つデジタルトークンと見なすことができます。

顧客はこのクーポンを利用してサービスを得ることができます。

デジタルトークンも同様に動作します。

しかし、それらは単にサービスや商品を得るためのものだけでなく、デジタル資産(例えば、暗号通貨)、所有権(例えば、不動産の一部)、アクセス権(例えば、特定のデジタルサービスへのアクセス)など、様々な形の価値や権利を表現することができます。

デジタルトークンは、ブロックチェーン技術を活用して新しい価値や機会を生み出す有力な手段です。

これらがどのように機能し、私たちの日常生活にどのような影響を与えるかを理解することは、デジタル時代において重要なスキルとなります。

エネルギー分野


ブロックチェーン技術は、それが登場した金融業界から広範囲にわたる産業へとその影響を広げています。

その中でも注目すべきはエネルギー分野です。
ブロックチェーンがエネルギー業界でどのように利用されているかを、具体的な事例を用いて説明します。

グリーンエネルギーの追跡:コンサートのチケットと同じように

ある音楽バンドのコンサートに行くためのチケットを購入したとしましょう。
そのチケットはあなたがコンサートに入る権利を証明します。

これと似たように、ブロックチェーンは再生可能エネルギーの生成と消費を追跡することができます。

エネルギー会社は、例えば風力発電機から生成される電力量をブロックチェーンに記録します。


これにより、消費者は自分が使用するエネルギーが持続可能な源泉から来ていることを確認することができます。

この透明性は、グリーンエネルギーの普及に大いに貢献することが期待されます。

エネルギー取引:フリーマーケットと同じように


あるフリーマーケットで、あなたが自分の商品を他の人に直接売ることを想像してみてください。

ブロックチェーンは、エネルギー取引において同じような役割を果たすことができます。

家庭で余剰電力を生成した場合、例えば太陽光パネルから、その電力をブロックチェーンを通じて直接他の消費者に販売することができます。

ブロックチェーンは、その取引を記録し、安全に実行します。

これにより、エネルギー市場が民主化され、一般の消費者もエネルギーの売買に参加できるようになります。

これらの例から、ブロックチェーンがエネルギー業界でどのように活用されているかを理解することができます。

ブロックチェーンは、エネルギーの追跡と取引における透明性を提供し、持続可能なエネルギーの普及とエネルギー市場の民主化を推進する可能性があります。

著作権管理

ブロックチェーンの活用範囲は非常に広く、その一つとして著作権管理があります。

この技術の透明性、不変性、そして分散化された特性は、著作権の保護と管理を改善する可能性を秘めています。

ブロックチェーンが著作権管理にどのように利用されているかを、具体的な事例を用いて説明します。

著作権の登録:土地の所有権証明と同じように

あなたが土地を購入したとき、その土地の所有権を証明するための公的な書類を手に入れます。ブロックチェーン上の著作権の登録も同じように機能します。

作成者は、自分の作品(例えば、音楽、映像、文章など)をブロックチェーンに登録します。
その登録情報は変更不可能で、全世界に公開されます。

したがって、作成者はその作品が自分のものであることを明確に証明することができます。

ロイヤルティの分配:自動販売機と同じように

あなたが自動販売機にお金を入れて商品を購入するとき、そのプロセスは全て自動化されています。
ブロックチェーンを使用したロイヤルティの分配も同じように自動化されます。

ブロックチェーンは、作品がどれだけ使用されたか(例えば、再生された回数やダウンロードされた回数など)を正確に追跡することができます。

そして、そのデータに基づいて、作成者に対するロイヤルティを自動的に分配します。
このプロセスは透明で、誤解や紛争を大幅に減らすことができます。

これらの例から、ブロックチェーンが著作権管理にどのように活用されているかを理解することができます。

ブロックチェーンは、作品の所有権の証明やロイヤルティの分配といった問題を解決し、クリエイターがその作品から適正に報酬を得られる環境を実現することができます。

医療業界

ブロックチェーン技術は、その特性から金融やサプライチェーンなど多くの分野で利用されています。

その中でも、医療業界でのブロックチェーンの活用は特に注目されています。
具体的な事例を用いて、ブロックチェーンが医療業界でどのように活用されているかを説明します。

医療記録の管理:安全な金庫と同じように

医療記録は、患者の健康状態や治療履歴を詳細に記述した非常に重要な情報です。
それらの情報は、安全な金庫に保管されるべき価値あるものと同じくらい大切です。

ブロックチェーンは、その安全な金庫の役割を果たします。

ブロックチェーンを使用して医療記録を保存すると、その記録は安全に暗号化され、改ざんされることがありません。

さらに、患者は自分の記録へのアクセス権を持つ人を管理することができます。これにより、医療情報のプライバシーとセキュリティが大幅に強化されます。

薬物の追跡:郵便パッケージの追跡と同じように

あなたがオンラインで商品を購入したとき、その商品がどこから来て、どこにいるかを追跡することができます。

ブロックチェーンを使った薬物の追跡も、この追跡プロセスと同じように機能します。

製薬会社は、ブロックチェーンを使って薬物の製造から配送、最終的な患者までの経路を記録します。

この情報は改ざんできず、全体の供給チェーンを通じて共有されます。
これにより、偽造薬の流通を防ぎ、薬物の安全性と品質を確保することができます。

これらの例から、ブロックチェーンが医療業界でどのように活用されているかを理解することができます。

ブロックチェーンは、医療記録の管理や薬物の追跡など、医療業界のさまざまな課題を解決するための有力なツールとなっています。

投票・選挙

近年、ブロックチェーン技術の利用範囲は広がりを見せています。

その中で、公平で透明性のある投票・選挙システムの実現にブロックチェーンが果たす役割に注目が集まっています。

具体的な事例を通じて、ブロックチェーンが投票・選挙にどのように活用されているかを説明します。

投票の透明性:公開された試合のスコアと同じように

サッカーゲームのスコアは、試合終了時に公平に計算され、公開されます。

ブロックチェーンを用いた投票も、このような公開されたスコアと同じように透明性を保証します。

投票情報はブロックチェーンに記録され、その情報は改ざんできないものとなります。

すべての有権者は、投票結果を確認することができ、その過程が公正に行われていることを確認することができます。これにより、選挙結果の信頼性が向上します。

遠隔投票の可能性:オンラインバンキングと同じように

オンラインバンキングを使用すれば、家から離れることなく、安全に銀行取引を行うことができます。

同様に、ブロックチェーンを活用すると、有権者はどこからでも安全に投票することが可能になります。

ブロックチェーンは、各個人の投票を確実に記録し、その投票が適切にカウントされることを保証します。

また、投票者の身元を確認するための安全な手段も提供します。
これにより、選挙への参加がより容易になり、大きな選挙率の向上が期待できます。

これらの例から、ブロックチェーンが投票・選挙にどのように活用されているかを理解することができます。

ブロックチェーンは、投票の透明性と遠隔投票の可能性を提供し、より公平で信頼性のある選挙システムの実現を可能にしています。

まとめ


今回は、身近な業界でのブロックチェーン活用事例を紹介しました。

金融業界からサプライチェーン管理、不動産、エネルギー、著作権管理、医療、保険、投票、教育、人道支援まで、幅広い分野でブロックチェーン技術が実用化されており、その可能性は無限大です。

これらの事例を参考に、ブロックチェーン技術がどのように社会に貢献できるかを理解し、自分自身が関わる業界やビジネスでの応用を考えてみてください。